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2012年 8月21日 12:00 多田 29.0℃ 

8月の多田海水浴場は、息を呑む透明度です。
どこの海がおすすめですかと、聞かれる折には、
初心者の方には、この海水浴場をおすすめしています。

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生命に溢れていたあの岩は、静かに沈黙していました。

砂底に生きる生き物たちを見つめて、通い詰めた海水浴場の傍らに、
守り神のような巨岩がたたずんでいます。
この岩のことは、あまり注目していなかったのですが、
海水浴シーズンもひと段落した今日は、
あらためてじっくり観察してみたいと思います。

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最初に目に飛び込んできたのはムツサンゴです。
岩陰のようなところに多いようです。

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表面にも、ちらほら。
砂がかっているので、海藻はあまり生えていません。

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イソギンチャクみたいですけど、よく見ると、
岩の表面ににかわ質の群体が広がっています。
その所々からキョウと呼ばれる突起が発生していて、
触手を広げるとイソギンチャクみたいに見えるのです。

写真の中に、ほかにも小さな生き物が隠れているのですけど、おわかりかしら。

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この岩の割れ目にも。

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ウニとウニの間にも。黄色いツノがチャームポイントです。

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イソギンチャクの手前にも。赤い縞模様が鮮やかなサラサエビです。
隙間に大群で潜んでいました。

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潜んでいると言えば、このクモヒトデ。毛深いおみ足ですね。

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こんな小さなカイメン? からも。

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あら? これは普通のニッポンクモヒトデかしら。
石の下が定位置とばかり思っておりました。

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岩の裏側の最も暗い場所には、
極小のポリプのお花畑が広がっていました。
触手は8本、八放サンゴの仲間だと思います。

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岩の隙間には、コノハミドリガイの姿も。

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これはクロヘリアメフラシだと思うのですが、
よく見かけるものとはちょっと雰囲気が違っています。
はっきりとした白い水玉が全体に散らばっています。

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フサイワヅタで見かけたアオウミウシは、斑紋がつながって黄色い筋状になっています。
この緑藻を好んで住処にするタマミルウミウシは、見当たりませんでした。

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小さなアズキウミウシが、小さな海藻の上で追いかけっこ。
他にはサラサウミウシ、コモンウミウシを見かけました。

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最後の最後まで気付かなかったのですけど、サラサエビたちの団地のお隣に、
蛍光黄緑のグビジンイソギンチャクが花開いていました。
こんな発色もあるのですね。
よくご覧になってください、その上にももう一輪、
桜色のグビジンイソギンチャクがはまっています。
驚くべき色彩のバリエーションです。

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2012年 8月 1日 11:00 多田海水浴場 27.5℃

まだ、海水浴には少し早い気分なのか、ひと気のない明るい砂浜です。
透明度もぐんと上がりました。

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あの岩は、こんな姿に。

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あの狂宴の日々から、すでに1ヶ月が経過しています。
手前にぼろぼろと崩れ落ちているのは、
岩から剥がれ落ちた卵嚢のかたまりです。

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ごわごわとした手触りで、まだそれほど劣化していないようです。
こんな頑丈な袋を、ちっちゃな貝が、命がけでつむいだのですね。

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中身は空っぽ。みんな無事に旅立てたのかな。

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今日もたくさんのミズクラゲが流れ込んでいました。
クラゲは命を運ぶ海の方舟でもあります。

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ほら、傘の下に、半透明の小さな魚が。
ヒレの先っぽが白いラインで縁取られていて、宝石みたい。

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時は移ろい、海は絶え間なく変化し続けている。
喜びも悲しみも過去となり、潮のように流れ去っていった。
今は新しい流れが、この海に満ちている。

2012年 7月19日 12:30 多田海水浴場 26.0℃

夏の魚売り場で、しばしば見かける、ホウボウ、カナガシラ、カナド。
佐渡では、すべてカナガシラの名で出回っているようです。
頭の骨がとても硬いのが由来でしょう。

沖合いに出ている冬が旬と言われています。
岸近くに寄ってきている夏場、目にする機会が多いので、
てっきり夏が旬と思っていました。

えり好みの激しい佐渡では、長らく流通していませんでしたが、
近年は雑魚扱いで安価に出回っています。
夏でも十分おいしくいただけます。
肉質は淡白で、よいダシが出るので、アクアパッツァなどがおすすめ。

胸ビレが赤いものがカナガシラで、青いものはホウボウかカナドです。
頭でっかちで、ウロコが粗く、全体に小ぶりなものはカナドだろうと思います。
カナドは味の点でやや劣ると言われています。
赤味の強いカナガシラを選べば無難かもしれません。

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こちらはカナド。
確かに頭でっかち。
胸ビレの一部が離れ、3本の指のように発達しています。

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わたしに気付いて、胸ビレが半開き。
ホウボウの仲間は、指のような部分を使って、
砂の上を歩くように移動する様子から、
『方々歩く』、ホウボウの名が与えられたとか。

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しつこく追いかけていたら、一気に胸ビレを広げました。
最大級の威嚇です。
シアンブルーが太陽を反射して、まぶしい!
海底を旋回しながら、今しも飛び立とうとする飛行船みたい。

2012年 7月19日 12:30 多田海水浴場 26.0℃

18日に、梅雨が明けました。
あの岩は、今、どうなっているでしょう。

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そう、この岩です。

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熱狂の日々は、確かにその名残をとどめていました。

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空っぽの卵嚢は、砂をかぶって見る影もなく、
中に生き物の気配はありません。
皆、無事に旅立っていったのでしょう。

他の岩に産み付けられた卵嚢のうち、すぐにはがれ落ちてしまったらしく、
ずっと砂底を波に揺られ、行ったり来たりしているような、
小さなかたまりがいくつかあるのに気付いていました。
その迷子の卵嚢たちも、ご覧のとおり、ちゃあんとふ化しています。

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袋の中に見えるのは、すべて小さな巻貝です。
もういつ生まれてもおかしくないんじゃないかしら。

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そっと振ってみると、ほら、小さな砂粒が飛び出しました。
はじめまして、命たち。
わたしの中指のところに、ぽつんと白い点が見えるでしょう。
これがバイの赤ちゃん。
ベリジャー幼生と呼ばれます。浮遊生活を送るのはわずか数日です。
卵嚢の上の方が開いていて、そこから出てくるみたい。

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なんにもない砂の上に、パステルカラーの小さな花が1輪。
これはゴカイのエラで、呼吸のために開いているものですから、
バイの赤ちゃんが襲われる心配はありません。
小さな命の新たな旅立ちを、海の底で優しく見送っています。

生まれいずる悩み ⑤

2012年 7月 9日 15:30 多田海水浴場 24.1℃

真新しい卵嚢に覆われていた最初の岩肌に、
徐々に砂が降り積もって、少しずつくすんできています。

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卵は、色付いたものもぱらぱら見えますけど、
透き通った空っぽの袋が多くなっていると思います。

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残念ながら肉眼では、これ以上は観察しようがありません。
中が残っていると思われるものを選んで採取すると、
0.5mmにも満たない、砂粒のような丸いものがこぼれ落ちてきました。
顕微鏡で100倍に拡大してみます。

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ちゃあんと巻貝の形になっていました。大人のバイの形と比べると、
少しつぶれていて、口が大きく開いています。

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殻はとても薄く、中身が透けて見えます。
右側の渦巻きの中心あたりが、いわゆる貝の肝の部分でしょう。

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薄茶色の肝が、いくつもひしめきあって、
卵嚢の中の、茶色い斑点のように見えたのかもしれません。

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もしも言葉が通じるなら、彼らに伝えたいことがあります。
あなたのお母さんを知っています。
あなたを生むために、ひとり、海の砂漠を渡って来た。
その姿がどんなに力強く、美しかったか、
どんなにあなたを愛していたか、わたしは知っています。

新潟県水産海洋研究所の報告(2006)によれば、
卵嚢から飛び出した赤ちゃん貝は、すぐには砂に潜らずに、
3日ほどのプランクトン生活を送ります。
この3日間は、生涯で最もハイリスク・ハイリターンな賭けと言えるでしょう。
その後は生息域を、ほとんど移動しないと考えられるバイが、
波に乗って分布を広げる千載一遇の好機であり、
同時に、魚などに捕食されて、早くも大多数は命を落とすことになると思われます。

短期間のプランクトン生活を経て、着底したものは、
大部分の時間を、砂に潜って身を隠しながら、死肉を求めて海底を這い回ります。
無事、産卵できる大きさになるまで、
生きながらえるものは、ごくわずかでしょう。

ここまでずっと、バイたちの産卵にまつわる、
大きな海の、小さな始まりの物語を見つめてきました。
読み続けてくださった方々に、深謝いたします。
ここから先は、もうわたしには追いかけることの出来ない、
彼ら自身の物語の始まります。

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