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いよいよ入梅しそうな週間予報になってきました。
初夏の青空がいつまでも続くような気がしていましたが、
それが錯覚でしかないことはよくわかっています。
長くうっとおしい梅雨もまた、かけがえのない自然の恩恵です。
今日、明日の貴重な晴れ日に、馴染みの海へ、
しばしのお別れを告げに行くとしましょう。

2011年 6月19日 14:00 多田海水浴場 22.8℃

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テトラ周りの褐藻は倒れ始めています。
水面まで先端が届いていたのに、幾分背が低くなっています。

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毛の薄くなった頭皮のように、褐藻の株元が透けて見えるようになりました。
こうしてみると、ガラモ場では、陸上の森と同じ現象が起こっているのがよくわかります。
うっそうとした森では、樹冠が日光をさえぎるので、
林床は他の植物が生えにくい環境になっています。
褐藻の根元も暗くなってしまうので、動物にはかっこうの住処に違いありませんが、
他の海藻にとっては好ましくない場所のようで、岩肌がむき出しになっています。

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褐藻の根元には夏越し用の短いシュートが密生しています。
長い生殖枝は、梅雨に入ると波にもぎとられ、潮にさらわれていきます。
千切れた生殖枝の一部は、気泡のおかげで水面に浮き上がり、漂流します。
このような藻の切れ端は「流れ藻」と呼ばれます。
流れ藻はしばしば、幼魚などの小動物の生活の場となります。
小さな小さな方舟です。

北東風が強く、テトラの内側に潮目が走っていたので、
佐渡ではフクラゲなどと呼んでいる小さなブリが、アマモ場を回遊していました。
そのせいか、時期はずれの海水浴場などでは、
わりと悠然と停滞している小アジの群れが、せわしなく逃げ回っています。

砂底にはたくさんのネズミゴチを見かけます。
和木や平沢でも見かけたキスの群れは、
いくらかばらけて、単独行動の予備段階に入ったようです。
トランプをばらまいたように、小さなカレイの幼魚もちらほら見えます。
これはけっこう、目が慣れないと、見つけるのは難しいかもしれません。
下のものはウシノシタの幼魚だと思います。いわゆるシタビラメです。

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カレイほどの機敏さはなくて、のそのそと、
波紋の凹凸を舐めるような感じで乗り越えて移動します。

防波堤際の岩の上に、ここでもやっぱりウミゾウメンが生えています。
ウミゾウメンが生えるよりも浅瀬で、物理的にもう少し過酷な潮間帯は、
タマジュズモに覆われていました。

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透明の緑色のビーズが連なっているように見えます。
このビーズの一粒ひと粒が、1個の細胞で、肉眼で見えるほど大きいのです。

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さて、梅雨が明けて次に来るころには、
“時期はずれの海水浴場”などという、しょんぼりしたレッテルは返上したいところです。
2011.06.18 夏の夜の夢
地上のホタルは今が盛りですが、
いえ、今年は少し遅れているかもしれませんが、
海にも光るホタルがあるのです。

ウミホタルという名の、この動物プランクトンは有名です。
わたしは見たことがありませんでした。
弟が夜釣りに行くたびに、夜光虫がどうの・・・、と言って大騒ぎするので、
仕事帰りに二見まで足を伸ばしました。
その、弟おすすめの二見では、ほとんど何の反応もなく無駄足でした。

このまま帰るのもなんだか癪で、沢根の崖下に立ち寄りました。
ここに夏になると、たくさんのウミホタルが打ち寄せると話してくれた人があったのです。
桟橋の先端から、タモで水面をたたくと、きらきらと星が散るようにまたたくものがあります。
青白い色こそ違いますが、すうっと消え入る様子など、本当に、ホタルのような光り方です。

驚いたのは、浅い海底のあちこちで、ぼうっと、大きな光が明滅していることでした。
1匹ではなく、何十、何百という数のウミホタルが集まって、
いっせいに発光しているのだと思います。どういう刺激でそうなるのか不思議です。
彼らは腐肉食で、昼間は砂に潜って過ごす習性があるようです。
死骸に群がって食事中なのか、あるいは何か、
条件があわずに砂底に沈んでいるところを、小さなコチが蹴散らしてでもいるのでしょうか。
理屈はわかりませんが、とても幻想的な光景でした。

ウミホタルのイリュージョンは、これから真夏すぎまで楽しむことが出来ます。
2011年 6月13日 9:30 長浜・長浜荘 20.4℃

1ヶ月ほど前には、たくさんのウミヒドラが波に揺られていました。

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オオタマウミヒドラのようです。
ヒドロ虫はクラゲの1種で、これは親株のようなもの(クラゲはそこから生まれるクローン)なのですが、
驚くべきことに、花のような先端部からではなく、株元からクラゲを発生させるのだとか。

今回はもう、クラゲになったあとだったのか、
わずかに柄が残っているものもありましたが、ほとんど消失していました。

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ここは、真野湾の出口に近い長浜のはずれなので、冬の風当たりはけっこう強いのです。
そのせいか、ガラモ場はあまり発達しておらず、手前の、ピンク色に見えている岩のように、
サンゴ藻(サンゴの仲間ではなく海藻)や紅藻がよく繁茂しています。
紅藻は今が見頃で、素晴らしい発色をしています。
夏までには溶けてなくなるか、著しく退色してしまうものが多いようです。
中央に黄色く見えているのは褐藻ですが、30cmくらいしかありません。

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水面すれすれのところに、モヅクのような海藻がびっしり生えていることがあります。
これ、生え方が独特なのですぐにわかると思います。
ウミゾウメンという紅藻で、モヅクとは別の仲間なのですが、同じように食べることが出来ます。
この海藻を見ていると、潮間帯とか、飛沫帯とかいう概念が理解しやすいように感じます。

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隠れ場所がなく目立つせいか、あるいは潮がよく通るせいか、
魚影は濃いところです。いろいろな幼魚の群れ、
岩礁性のアイナメやナベカ、クロダイ、キュウセンもよく見かけます。

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今は産卵期を迎えているアメフラシが目立ちます。20cm以上の巨体もちらほら。
これはアマクサアメフラシではないかと思います。
普通のアメフラシのように、雨だれ模様が明瞭でなく、やや小ぶりなものが多いようです。

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大きな岩には褐藻が生えているのですが、ちょっと気になるのは、
このあたりの、あまり大きくない転石には、ほとんど海藻が発生していないのです。
波当たりが強いので、石が動いてしまって生育できないのかもしれません。
それに、石が皆、白っぽく見えるでしょう。
表面に石灰藻という藻類の1種が付着しているせいだと思います。
これは磯やけした海岸ではよく見られる現象で、
こうなると、他の海藻は定着しにくくなると考えられます。
いつだったか、ここでシタダミ拾いをしていた地元の方が、
このあたり、いつのまにか、石がみーんな白くなっちゃって・・・
とおっしゃていたのが忘れられません。

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海藻が少ないので、他の生き物が目立ちます。
ブツブツと穴の開いたスライムのような物体は、カイメンです。
紫、黄緑、ピンク、オレンジなどなど。
海の生き物には、どぎつい色彩のものが多いのは、どうしてなのでしょう。

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帰り道、長浜の反対側のはずれ、滝脇まで戻ってくると、
こちらは湾の奥部で波当たりが弱いので、褐藻の先端が水面を覆っています。
国仲育ちのわたしにとって、長浜は、
身近すぎて特別さのない、つまらない海岸のような気がしていました。
こうして改めて見てみると、どうしてなかなか、学ぶところの多い興味深い海ではありませんか。
2011年 6月 14日 15:30 加茂湖・潟端 22.6℃

母の一周忌でした。東京から来ていた叔母を、波止場まで送ったあと、
このまま帰るのはもったいない気がして、加茂湖に立ち寄りました。

ひとりで海で泳ぐことを、母は最後まで反対していました。
彼女の死はわたしの人生観を変えませんでした。
まっとうに生きるための、軌道修正の最大のチャンスを、
みすみす棒に振ったようなものです。
親が死んで改心しなかったのですから、あとはこの先、
どん詰まりまで行き着いて、地団駄を踏むときまで、
わたしという人間は、
きっとこういうふうにしか生きられないのです。

潟端ではカワツルモ群落がほぼ消失していました。
カワツルモは河口域などに発生する海草の一種で、
各地で絶滅が危惧されています。
佐渡では加茂湖でしか見ることは出来ません。
地元の漁師は「スガモ」と呼び習わしてきたようです。

ほんの数年前には、ここは誰にも知られていない「スガモ」の楽園でした。
今は、若いアマモ群落の合間に、数株が点在するにすぎません。
どうしてこうなったのかはよくわかりません。
わたしの印象では、カワツルモはきわめて短命な多年生の海草で、
寿命は2~3年程度だろうと思います。
20年以上にわたって群落を維持している箇所もありますが、
そういう場所では、次々に実生苗が発生して群落を更新しているのではないでしょうか。

倒れた茎の節から根を伸ばし、新しい株を形成する栄養養殖性は強いので、
わずか数株からでも群落を再生できるかもしれません。
わたしに出来る唯一のことは、観察を続けることです。

加茂湖はほとんどの海岸が矢板で囲まれてしまっているのですが、
そのあたりには転石が入っていて、褐藻が発生しています。
穏やかな海ですから、褐藻の先端は水面を覆っています。
この海中の屋根は、小動物たちのお気に入りの隠れ家です。

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小魚はもちろん、エビや、どういうわけか、ヤドカリもよく乗っかっています。
これはヨシエビかと思います。長手岬のタイドプールでも、時々見かけます。

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これは変りダネ、カギノテクラゲです。同じ加茂湖でも、
樹崎ではほとんど見かけませんが、潟端のナガモにはよく発生しています。
藻の広がった水面をすくうと、ほかに、エダアシクラゲが入ることもあります。
どちらも1cm程の小さなクラゲです。

2011年 6月 8日 10:30 加茂湖・樹崎 21.8℃

このあたりの海草の開花が始まっているかどうか、
ちょっと確認しに来ました。

開花は、始まっていましたけれど、もう少しあとのほうが見頃のようです。
全草にびっしりウズマキゴカイが張り付いていて、
あまりよい状態ではありません。
ゴカイが直接海草を食べることはないのですが、
ここまで覆われてしまうと光合成が阻害される可能性があります。

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この海草群落の外側のアマモ場は、2年前の台風ですっかり失われてしまいました。
今、その場所にはたくさんの実生苗が発生して、新しいアマモ場が回復しつつあります。

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まだ、まばらで、弱弱しい外見です。
ここは非常に穏やかな海なので、自然にアマモが発生しているのですが、
一度失われたアマモ場が、元のような力強い群落にまで回復するのは、
容易ではない、ということがよくわかります。

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岸近くにアマモの切れ端が流れ着いていました。
アマモの葉上に海藻が発生するのはよくあることですが、
これはヒドロ虫です。イソギンチャクやクラゲの仲間で、ウミヒドラと呼ばれています。
細かい種名まではわかりません。
柄の部分が硬いのが特徴だと思います。
2011.06.11 残酷な6月
6月はひたすらに、奇跡を待つしかないときなのでしょうか。
目の前に、どうすることも出来ない理不尽が立ちはだかっているとき、
ほとんど起こるはずのない奇跡にとりすがって、
引きずられるように日々を生きねばならぬのでしょうか。

母が死んだ朝、妹は号泣していました。
弟は放心しているように見えました。父は優しい目をしていました。
わたしはほっとしていました。ほとんど微笑んですらいたかもしれません。
これでもう、起こるはずのない奇跡を待つ必要はなくなったのです。
死の宣告よりも、映画のような奇跡が起こって、
万が一にも助かるのではないかという期待のほうが、わたしたちを苦しめました。
今日からは、あるがままの絶望を受け入れるだけでいいのです。

自然を見ていると、はっきりとわかります。
この美しい世界は不平等で、どんな理不尽もありえます。どんな不幸も起こりうるのです。
そして同じだけの確率で、まったく偶発的に、絵空事のような奇跡を叶えるときがあります。

あの日、見えない津波にさらわれていったわたしの心は、
今もまだ深い海の底に沈んでいます。
2011年 6月 9日 14:30 長浜・人面岩 20.7℃

先日、静かな海では、褐藻が塔のように長大に育つことをお話しました。
もう少し波当たりの強い海では、どうなるのでしょう。
厳しい季節風が吹きつける冬、北西に面した海岸は、荒れ狂う波でもみくちゃにされます。
こういうとき、水面まで達するような背の高い状態は不利です。
波で千切られたり、根こそぎさらわれたりする可能性が高くなるからです。

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長浜では褐藻の背丈は1mくらいです。
それでも、この海岸は海藻の種類が豊富なほうで、多様性は高いと言えます。
もっと荒々しい相川の沿岸では、海藻の種類はより限定的になります。
透明度は高く、わわゆるキレイな海ですが、物理的には苛酷な環境なのです。

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今は海藻の老成期なので、そろそろ枯れ始めています。
海底に骸骨のように横たわっているのは褐藻の茎です。
気泡という無数の浮き袋によって、キリリと直立していた褐藻も、
胞子を放出し、役目を果たしたあとは、流されたり、水底に沈んだりして、
夏の休眠期へむけて姿を変えていきます。

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褐藻の葉の間に、同じような色をした1cm弱の節足動物が群がっています。
よく見かけますが、ちょっと名前がわかりません。
エビのような感じで、アミに近い生き物だったかと思います。
藻場に住む小魚たちの格好のエサになります。

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この時期ガラモ場では、いろいろな種類の稚魚を見かけます。
褐藻の葉陰は安全性の高い住居です。
これから褐藻が枯れ上がり、海の冬が来ると、
彼らにとっては試練の季節となります。
認知症介護の現場に戻って、2ヶ月あまりがたちました。
この仕事が、自分に向いているかどうか、
本当のところ、よくわからないのですが、
わたしは根本的に心根の冷たい人間で、すべての他人に対して平等に冷淡なので、
かえってそのことがうまく作用するときがあるかもしれません。

認知症というと、物忘れが一番に取りざたされますが、
実際には、建前や遠慮などの、表面的な理性が機能しなくなり、
むき出しの感情が突発的に爆発してしまう、ということが問題なのです。
そもそもわたしは、表面を取り繕うことの不得手な、感情的な人間ですから、
そういう点でも、彼らに近いものを持っているかもしれません。

認知症介護とは、高度にマニュアル化された、
コミュニケーション学の実践の場である、と感じています。
人間同士が、言葉や体裁によってではなく、
いかにして心と心でつながるか。
この仕事は、わたしに絶対的に欠如しているものを、
教え、補ってくれているのです。

前の職場に、とてもわがままで、
職員の悪口を始終言っているような、高齢の入居者がいました。
戦争で夫を失い、働きながら、
障害のある子供と孫たちを、ひとりで育て上げた気丈な女性です。
職員は皆手を焼いていました。
彼女のふてぶてしい態度を、わたしは忌々しく思っていました。

あるとき彼女は転倒し、骨折しました。2週間の入院ののち、
戻ってきたのは、別人のようにかわいらしいおばあちゃまでした。
たいていの場合、入院すると一気に認知症が進行するのです。
幼児に戻ってしまった彼女は、従順で、扱いやすい入居者になりました。
「今の彼女が好き」とはっきり言う職員もいました。

わたしは時々、かつての高飛車な態度や、嘲笑するような視線、
悪意のこもった嫌味などを思い起こしました。
自分はボケてなんかいないんだという精一杯の虚勢、
最期の一瞬まで“強い女”でいたいという秘められた切望、
スプーン1杯の食事にも見せた命がけの激しい拒絶、
それらが失われてしまったことを悲しく思いました。
面倒だと思っていたけれど、身勝手で、不遜で、高慢で、
女の強さや嫌らしさや弱さを全部さらけ出していた、
そんな彼女のほうが好きでした。
2011.06.09 生命の塔
2011年 6月 8日 13:00 平沢海水浴場 21.0℃

梅津公園に面した平沢の海水浴場(正式名称不明)は、
加茂湖の湖口に近く、その豊かな恩恵を体感できる素晴らしい海水浴場です。
もっとも、この時期に泳いでいるのはわたしくらいなものですけれど。

ここのアマモ場は、多田や二見に比べると、水深は深めです。
正確には測ってはいませんが、4~5mくらいだと思います。
この時期はどうしても濁りが入るので、暗く、深く感じます。
ところどころに岩が沈んでいて、褐藻が繁茂しています。

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浅いところでは、褐藻の先端は水面に到達し、横に広がってゆきます。
海藻が水面を覆いつくしてしまったように見えるのですが、
これは穏やかな海でよく見られる現象です。
波当たりの強い場所では、褐藻の背丈はずっと低くなり、先端は水面には至りません。

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水深の深い場所では、褐藻は冬の間中延び続けます。
水面ぎりぎりまで生長した姿は、塔のようです。
内部には、様々な稚魚や幼魚が群れています。
無数の命をはぐくむ生命の塔です。

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塔のつけ根にはウニがひそんでいました。岩礁性のタイプです。
ちょっと意外でした。ここは全体としては砂底の海なのです。
ほとんど砂に埋もれた石の上で、どんな生活を送っているのか不思議です。

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砂の上にはモミジガイが散らばっています。
まるで海に沈んだ星屑のよう。
ここから、和木までの砂浜地帯でよく見かけます。

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平沢のアマモ場は、多田や和木のように、
ガツガツと生殖枝を上げるような勢いを感じません。
なんとなくおっとりしているのです。二見のアマモ場に雰囲気が似ています。
静かな海は、アマモの生き方まで穏やかにしてしまうのでしょうか。

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わかりにくいかもしれませんが、銀色の粒が写りこんでいます。
アマモ場から湧いている酸素です。
よく晴れた凪の海を泳いでいると、
無数の泡が立ち昇っているのを見ることが出来ます。
2011.06.07 アマモは踊る
2011 6月 6日 14:30 和木 19.0℃

数年来、島内のあちこちのアマモ場を見つめ続けてきました。
今、はっきりと確信をもって言えることは、
(とはいえ科学的検証を行ったわけでもなく、
 ともすると研究者にとっては常識なのかもしれませんが)
アマモ場は動く、と言うことです。

このことは、実は庭のクローバー(シロツメクサ)の群落を見ていて気付きました。
居間から直接庭に降りられるのですが、その降り口に、
いかにも靴の裏に種が付着してもたらされたらしい、クローバーの小群落がありました。
それが、ちょうど玄関マットのような具合に見えたので、目が留まったのです。
翌年、玄関マットは、前年よりも右に移動していました。
おや、と思っていると、次の年には、
群落はばらけてマットではなくなってしまいました。
さらに翌年には、その付近にはクローバーは見当たらなくなりました。

クローバーは地下茎を張り巡らせて群落を拡大します。
こういうタイプの植物にはよく見られることですが、
地下茎の先端に発生した新しいシュート(地上部)は活き活きとしているのに対し、
古い部分は徐々に枯れて失われてしまいます。
この結果、全体として群落が移動しているように見えるのです。

アマモ場にも、このような変遷を見出すことが出来ます。
和木では、水深4mほどの地点に、島状にアマモ群落が点在しています。
この島を見比べると、それぞれの群落の若さがはっきりと見て取れます。

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内浦から内海府は夕暮れが早く、
海の中が暗くて写真が見難いのですが、ご容赦ください。
これは若い群落で、まんべんなく生殖枝を立ち上げているので、
全体がこんもりとしています。

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こちらは、もう少し年数を経た島です。
外側には生殖枝が上がっていますが、内側にはほとんど見られません。
葉ばかりの栄養枝にも覇気がなく、砂底が透けています。

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さらに老化が進むと、島の中央に空き地が生じ、
そこには新たなアマモが芽生え、生育します。
群落の内部に群落が発生し、浮島のように見えます。

これは、佐渡の植物学を専門にしておられる先生にうかがったのですが、
ササやタケなどの、地下茎で繁殖するタイプの植物は、
いわゆるクローン増殖なので、短期間で分布範囲を広げる反面、
種としての寿命が訪れると、一気に全体が枯れ上がるのだそうです。
よく、「竹の花が咲くと竹やぶが枯れる」などと言いますよね。
山の古老たちは、フキノトウのたくさん生える秘密の場所を知っているものですが、
そういう場所でも、「ある年にいっせいに消えてしまう」
というような現象が起こると言われています。

わたしは、地下茎で繁殖するアマモも(もっと言えば他の海草も)、
そのような運命をたどるのだろうと考えています。
実際、特に問題はないと思われる場所で、海草の群落が突然(数ヶ月のあいだに)、
消えてしまうという不思議を何度か経験しました。
外側へ広がったアマモ群落はやがて衰退し、浮島だった小さな群落が、
大きな島に取って代わるのでしょう。
こうしてアマモ場は移動し、更新していくのだと思います。
そのサイクル、つまりアマモの寿命は、わたしは、
けっこう短いのではないか(数十年単位ではなく、十年内外)と感じています。

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波打ち際に何か、白っぽい半透明の幼魚が群れていました。
これはごく一部で、けっこうな数です。
青白い斑点が両側面に6、7個ほど並んでいます。
キスかな、と思ったのですが、
川から海へ降下し、銀化したヤマメではないかと父が言い出しました。
確かに小川は入っているのですが、川魚が移動するには、
水量に無理があるように思われます。
もし本当だったら素敵ですけれど。
たまにはそんな夢を見るのもいいかもしれません。
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