上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2011.11.30 冬に至る楽園
2011年11月29日 10:00 二見元村 13.0℃

加茂湖同様、真野湾もまた、外洋に比べると浅い海です。
夏は外洋より5℃くらい高く、30℃近い高温になりますが、
冬には逆転して外洋より低温になります。
いつの間にこんなに冷えてしまったのでしょう。
先月までは、20℃近くあったのに。
思いがけず、今日が二見での最後の遊泳になりそうです。
今年の夏は、この海にすべてを捧げたのでした。
その詳細はまた後ほど。

IMG_3097_convert_20111130225622.jpg

褐藻がよく繁茂しています。
テトラポットのまわりでは、もう水面に達しています。

IMG_3108_convert_20111130230201.jpg

夏のダメージはどこよりも大きいはずなのですが、
またたくまに回復し、どこよりも早く森がよみがえります。

IMG_3122_convert_20111130230812.jpg

褐藻の葉や気胞の配列は、数学的法則にのっとった、
繊細で精緻な工芸品のよう。

IMG_3117_convert_20111130230657.jpg

先端部分の色が違っているのは、新しく伸びた新芽の部分でしょうか。

IMG_3128_convert_20111130230925.jpg

こちらは、日本海特産種の褐藻、スギモクです。
これまでの観察では、ほかのモク類よりも、
生育開始の時期が遅い傾向が見られました。
今年もまだ目立った動きはありません。やけに遅れています。

さて、海草の草原はどうなっているでしょう。

IMG_3093_convert_20111130224831.jpg

アマモは枯れ葉の部分がはがれて、
田植えを終えたばかりの稲田のような、群落の全体像がよくわかります。
地下茎で横へ広がりながらシュートを伸ばすため、
このような規則正しい姿になるのです。

IMG_3105_convert_20111130225950.jpg

こちらはスゲアマモ群落。ひとつひとつの株は大株で、独立しています。
アマモとは別の種であることがよくわかります。

IMG_3100_convert_20111130225741.jpg

この場所に、2ヶ月前までは、ノトウミヒルモの大群落がありました。
例年、このあたりにはアマモ群落があるのですが、
寿命が尽きたのか、昨年の秋に突然、更地に近い状態になり、
この夏にはノトウミヒルモが非常によく繁茂したのです。
今はあちこち泳ぎ回り、海底によくよく目を凝らしても、
ほんの数枚の葉しか確認することが出来ません。

IMG_3104_convert_20111130232311.jpg

かわりにコアマモをよく見かけます。
もともと小型のアマモ属ですが、シュートの間隔が広く、
他の海岸の群落よりも、弱々しい印象を受けます。

IMG_3130_convert_20111130231046.jpg

岸近くの群落では、アマモの株元に、
部分的に枯葉が溜まっているように見える場所があります。
この枯葉は引っ張っても抜けません。

IMG_3114_convert_20111130230510.jpg

スゴカイの巣、棲管です。
管の先端に、海藻や砂粒や貝殻をくっつけてカモフラージュしているのです。
年中あるのでしょうが、この時期は特に、材料が豊富で、
不要の枯葉が波に清掃されるので、目立って感じられます。

IMG_3131_convert_20111130231202.jpg

二見に入れなくなると、片翼をもがれた気分。
もう海は寒いばかりでなく、随分暗いのです。

スポンサーサイト
IMG_3149_convert_20111130142327.jpg

マタタビを探していて、偶然見つけたケンポナシの木。
地面に落ちた木の実を見たことはあったのですが、
とっても背の高い木なので、
枝になっているところは見たことがなかったのです。

枝の先端にたくさんなっています。
コブができたみたいな果実は、先っぽに種子のぶらさがった独特の形状。
付け根の膨らんだ茎をかじると、芳醇な梨の香りがします。
生食出来ると言われていて、実際甘味はあるのですが、
同じくらい渋い!!
追熟が必要なのかしら。 

図鑑を見ると、二日酔いに有効なほかは、特に薬効は見当たりません。
父が言うには、セキ止めにも効果があるとか。
先月ひいた風邪の、セキがしつこく残ってるんです。
正直、半信半疑なんですけれど、
せっかくの芳香だけでも活かしたいと思って、
ブランデーに漬けてみました。

IMG_3159_convert_20111130142438.jpg

ブランデーを使ったのは、アルコールに強くないから。
ウォッカでもよいと思います。
砂糖を加えて、牛乳で割って、
寝る前に少しだけ、甘い梨の香りを楽しみます。
いつの間にかセキもおさまったけれど、
これってただの偶然かしら。

冷たい雨が降っています。
氷雨に濡れて、色づいた草木の葉も寂しげ。
重たい曇り空の下で、ひときわ輝きを放つ木があります

20111130120051_convert_20111130131921.jpg

イチョウの黄色は特別な黄金。内側から光り輝くよう。
はるか中生代から生き続ける「生きた化石」です。
17種あったといわれるイチョウ網は、イチョウ1種を残して、
氷河期にすべて絶滅したと考えられています。
滅びゆく仲間たちを見送って、たったひとり生き残ったイチョウの遺伝子も、
こんな秋の日には、遠い遠い、にぎやかな昔を思い出すのかな。

大野の清水寺の大銀杏は、
見上げるばかりの素晴らしい巨木です。
名木でなくても、村はずれの神社の境内の、
名もない1本も人知れず輝いています。

20111130121013_convert_20111130132554.jpg

散り敷いた木の葉は光の絨毯。
誰もいない境内がぼわっと明るい。

20111130121132_convert_20111130132056.jpg

はるかな太古、この絨毯の上を、
のっしのっしと恐竜が歩いていた、そんな秋もあったでしょう。
長い長い地球の時間の中の、瞬きよりも短い今日という一日に、
ひそやかに黄金が降り積もってゆきます。

2011.11.28 根の季節
2011年11月27日 14:30 長石浜

今日は暖かいけれど、強い風が吹いています。
長石浜にたくさんのアマモが打ちあがっています。

IMG_3077_convert_20111128132819.jpg

アマモの葉は、モカサのついていた外側がはがれて、
鮮やかな萌黄色です。

IMG_3078_convert_20111128133028.jpg

漂着物の中に、白い根が目立つのがこの時期の特徴です。

IMG_3079_convert_20111128133155.jpg

冬、アマモの地上部は、ほとんど動きがないように見えるのですけれど、
見えない地中の根は、よく発達してぐんぐん伸びます。
種をまくと、最初に根が出ますね。
まず根をしっかりと張ってから、地上部が伸び始めます。

厳寒の頃、アマモは一足早い芽吹きの季節。
その準備はもう始まっているのです。

IMG_3084_convert_20111128134141.jpg

あてにしていた天気予報が外れて、あいにくの曇り空。
あとどれくらい海に入っていられるかは、秒読み段階に入っています。
気がもめるけれど、こういうときには家の冬支度を進めなくちゃ。

IMG_3083_convert_20111128133733.jpg

たくさん集めた山の木の実と、
家の前の梨の木にからみついていたクズのツルでリースを編みます。
この梨は野生の木なので、大切にしたいと思うのですが、
すっかりクズのやぶに覆われてしまっているのです。
そのせいでほとんど実がなりません。
もっと手を入れてやらないといけないのですが、
Japanese green monsterとも呼ばれるツル植物の旺盛な繁殖力に、
いつも負けてしまいます。
今年も梨はならなかったので、かわりにクズのツルを利用します。

IMG_3087_convert_20111128134319.jpg

世界中のガーデナーたちの憧れの地、イギリスは、
日本に比べると動植物の種類が極端に少なく、
日本ほど雑草や病害虫に悩まされることがないのだとか。
イングリッシュ・ガーデンと呼ばれる素晴らしい庭が維持されている背景には、
そんな事情も関係しているようです。
多様な生態系を象徴するような、いろいろな山のツルの生命力にあやかって、
殖ゆる冬をお迎えしましょう。

IMG_3089_convert_20111128134419.jpg

久しぶりに実家に帰って(とは言え車で10分)、
おもしろいものを頂いてきました。

IMG_3080_convert_20111128133308.jpg

サルナシです。コクワとも呼ばれるとか。
マタタビの近縁種で、キウイフルーツと同じ仲間です。
3cmくらいですが、これで完熟状態です。かなりシワシワ。
乳製品のような香りがかすかにしています。
果実の表面の酵母のしわざかもしれません。

IMG_3067_convert_20111124172304.jpg

おおっ、これはもう、まさしくキウイです。
濃厚なキウイの味。
よく熟したキウイの芯(白い部分)の味? がします。
認めたくないけど、マタタビよりおいしいかも・・・

父が知人から分けてもらって、10年余り植えっぱなしになっていた木(ツル)に、
今年はたくさん実がなりました。
佐渡は山の文化が希薄だと、以前から感じていたのですが、
サルナシを食べるのは、祖父も知らないことでした。
(もっとも、佐渡人はマタタビもほとんど利用しないのですが)

小佐渡の山を越えた先に、今はもうほとんど空中分解してしまっているような、
小さな小さな山村があって、そこの出身だと言うばやん(おばあさん)から、
いつか聞き知って、たまたま苗木を分けてくれる人があったのを、
父がもらってきたのだそうです。

山にも自生しているというサルナシ。
いつかジャムに出来る日が来るかしら。

2011.11.24 小さな蛇遣い
今日は強い木枯らしが吹いています。
柚子の残りも収穫したし、こういう日は家で過ごすのが一番。
書こうと思いながら、先延ばしにしてきた諸々をまとめて書いています。

ときどきみぞれが降って、空は暗いのですけれど、
外はぼんやりと金色に明るい。
ちょうど今、山一面がその色に染まっているので、
世界がテンの冬毛に包まれているみたい。

2011年11月22日 12:30 加茂湖・樹崎 13.0℃

神様が願いを聞き届けてくれたのか、湖岸で1時間ほど待って、
雲の切れ間に20分ほど日が差しました。
もう13.0℃まで下がっています。
こんなに寒い海に入ったのは初めて。息が止まりそうです。

このところエビを探し回っていたのですが、もう長時間は泳げませんから、
今日はカイウミヒドラに狙いを定めます。
前回は何気なく見かけたのですが、探すとなると案外いないものです。

IMG_3046_convert_20111124095538.jpg

泥の下に鮮やかなサーモンピンクがのぞいています。

IMG_3052_convert_20111124095642.jpg

やっぱり! 泥の中に隠れていたみたい。

IMG_3016_convert_20111124094547.jpg

カイウミヒドラを背負った巻貝です。
シワホラダマシという貝の表面に、クラゲと同じ仲間のヒドロ虫が、
薄い膜のような根を張って共生しているのだとか。

ヒドラはギリシャ神話に登場する巨大な蛇です。
ヒドロ花と呼ばれるポリプの先端の部分が、
9つの頭を持つ蛇の化け物を連想させたようです。

IMG_3033_convert_20111124095116.jpg

指先に乗るほど小さな蛇遣い。
優しい珊瑚色をしています。

IMG_3043_convert_20111124095216.jpg

よくよく目を凝らすと、小石に紛れてあちこち這い回っていました。
同じくらいの大きさのムシロガイとは、生息環境が似ているようです。
泥の中に身をひそめているところも似ています。

IMG_3031_convert_20111124095010.jpg

奥に見えるのは、ゴカイの仲間のフン塚だと思うのですが、
手前のほうに小さな巻貝が身を寄せ合っています。
ゴカイはせっせと泥を食べて、有機物をこし取り、残りの泥を排泄します。
こういう場所では、下層の泥が表層に上がってきて、底質が柔らかくなり、
ごちそうのおこぼれなんかも期待できるかもしれません。

この日は“小雪”でした。大佐渡はもう冬の装い。

IMG_3061_convert_20111124095729.jpg

あともう一度だけ。でももう無理かな。
いつもそんな迷いを残しながら、最後の遊泳を終えるのです。

2011.11.24 昆虫記の渚
今、『ファーブル昆虫記』を読んでいます。
自分でも驚いています。

IMG_3062_convert_20111124092929.jpg

わたし、一般の傾向と比較すれば、虫好きなほうでしょうけれど、
これまで、昆虫を深く知ろうとしたことはなかったのです。
『ファーブル昆虫記』のことも、子供向けの本とばかり思っていました。

奥本大三郎訳 『完訳・ファーブル昆虫記』を読んでいるのですが、
これは完全に大人向けです。
試しに児童向けのものと読み比べてみたのですが、訳者の苦労がしのばれます。
児童書でも十分感動的です。

長編が苦手なので、(読み通すのに3年くらいかかります)
ひろい読みできるところもわたし向きです。
突然、第六巻から読み始めました。
この巻には、物理の教師であったファーブルが、博物学を志すきっかけになった、
コルシカ島での日々が回想されています。

     コルシカの海は驚異に満ち、
     砂浜にはこの上もなく美しい貝類が打ち寄せられ、・・・(中略)
     素晴らしい自然のこの楽園全部が、
     サイン、コサインを蹴散らすのであった。

     ・・・(中略)・・・

    「数学はもうやめたらどうですか。
     あなたの公式なんかには誰も興味を示しませんよ。
     動植物のほうにおいでなさい。もし情熱があれば、
     そして私にはどうしてもそう思えるのですが、
     あなたの話を聞く人がきっといますよ」
 


本がひとつの宇宙であることを思い出させてくれるような、
そんな文章にはなかなか出会えないものです。
初めて『佐渡の花』を読んだときの感動に似ています。

2011年11月17/18日 12:30 加茂湖・樹崎 16.0℃

このところ、佐渡中の海の中で、もっとも透明度が高い場所は、
たぶん加茂湖です。

というのも、木枯らしの季節がやってきて、
どこの沿岸部にも波が立っているからです。
季節風の影響をほとんど受けない二見も泥濁りしていました。
(懲りずに通っている和木もダメです)

加茂湖は、巨大な河口湖なので、
淡水の流入の影響を受けているはずなのですが、
水温が随分下がったので、植物プランクトンも発生しにくくなり、
透明度が保たれているのかもしれません。
あるときは佐渡で一番濁った海なのに、今は一番透き通った海。
加茂湖の濁りの最たる要因は、やはりプランクトンなのだと思います。

IMG_2996_convert_20111124094303.jpg

コアマモ群落の状態を見たいと思って、樹崎の東岸に入りました。
冬支度を終えたコアマモはこぢんまりとしています。
ほとんど荒野のようにも見えるこの浅瀬は、ハゼの楽園でした。

IMG_2927_convert_20111124093213.jpg

光り輝くネオンブルーが特徴の、スジハゼが目立ちます。
それぞれのハゼには住みかの穴があって、穴の外で見張っているのですが、
これ、本当はエビが掘った穴なんです。
ときどきエビも顔を出しているんですけど、
目が合うより早く、奥に引っ込んでしまいます。
2日間通って、何度もシャッターを押してチャレンジしたけど、
お見せできるような写真は、結局1枚も撮れませんでした。

姿が見えないので、確かめようもありませんけど、
テッポウエビの仲間は、ハゼと共生することが知られています。

IMG_2919_convert_20111124093034.jpg

少し大きな石の上には褐藻が発生しています。
株元のダイダイイソカイメンの色味が鮮やかです。

IMG_2977_convert_20111124094028.jpg

海底に散らばる無数の貝殻は、加茂湖ならではの光景です。
アサリ、ソトオリガイ、ヒメシラトリガイ、
それから、わたしが加茂湖のサクラガイと呼んでいるユウシオガイ。
特にアサリは大型で新しいものが目立ちました。
普通の海岸では、寄せては返す波に砕かれてしまう貝殻も、
この静かな海では、姿をとどめたまま泥に埋もれゆく運命なのです。

アサリは大小様々な生体も目立ちました。
普通浅く潜っているのですが、どういうわけか加茂湖では、
サボって?湖底に転がったままになっている大型の個体を時々見かけます。
小さめのものを掘り出して泥の上に置いてやると、足を伸ばして器用に潜ります。

IMG_2966_convert_20111124093501.jpg 左下から足が伸びています。

IMG_2968_convert_20111124093633.jpg 差し込んだ足を支点に、えいやっ、と縦に。

IMG_2976_convert_20111124093802.jpg 1分くらいで見えなくなりました。

ツバサゴカイの巣を掘り起こそうと狙ったのですが、
途中で挫折してしまいました。

IMG_2978_convert_20111124094136.jpg

泥の上に出ている白い棲管は2つで1組になっていて、
コの字型の構造になっているようです。
この面妖な生き物を1匹犠牲にしなくてはならないと思うと、
ちょっと決意が鈍りました。
またいつか機会があればチャレンジしたいものです。

それにしても寒い!
加茂湖はそろそろ泳ぎ納めです。
いいえ、例年ならもう加茂湖では泳いでいません。
浅い海は刻一刻と冷えていきます。

IMG_2948_convert_20111124095347.jpg

ああ、でももし神様がいるなら、もう一日だけわたしに下さい。
この素晴らしい海で泳ぐことの出来る小春日和を、もう一日だけ。
すべての佐渡人の宝物、
加茂湖は無限の玉手箱です。
昨夜の寒波で、金北山も初冠雪を戴きました。

IMG_2905_convert_20111116231110.jpg

日本人にとって富士山が誇りであるなら、
国仲生まれの者にとって、金北山は心の原風景にそびえる山です。

以前関東に旅行したとき、わたしは電車に乗りなれないので、
しばしば間違った路線に乗車してしまうのですが、
夕闇に染まる終着駅でやむなく下車したとき、目的地から遠く離れて、
そこがどこなのか、北も南もわからず、全く途方にくれたものでした。

国仲っ子たちは、幼少から繰り返し、
金北山のある方向が北、
と教えられて育つので、金北山がないと方角がわからないのです。
普段佐渡では、方向音痴な友人を、虫けらのように見下しているわたしですが、
一歩佐渡を出ると、わたし自身が虫けらと思い知るのでした。

将来佐渡を出ていくことを前提に育てられる今の子供たちは、
金北山のある方向が北、
などという偏った常識とは、無縁の子供時代を送っているのでしょうか。
あるいはそのような、一種の土着の信仰は、案外根強く残っていて、
彼らもまた、無意識の奥底に、金北山の姿を焼き付けているのでしょうか。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。