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8月に入ると、若者や家族連れでごったがえす海水浴場は、
わたしが最も苦手とする状況です。
もっとも、佐渡では、どんなににぎわう海岸でも、
泥水でイモを洗うような惨状にはならないのが、せめてものなぐさめ。
お盆を過ぎると、ぱったり人影が途絶え、
『盆過ぎに海に入ると溺れる』という先祖の教え? を、
かたくなに守り続けている素朴さも、いとおしいではありませんか。

本格的な海水浴シーズンの前に、何ヶ所か、
お気に入りの海水浴場を巡っておきましょう。

2012年 7月 4日 12:00 平沢海水浴場 23.0℃

平沢は、岸から離れると間もなく、丈立ちを越える水深に落ち込んで、
一面のアマモ群落が広がっています。
加茂湖の湖口に近いこともあって、透明度が低い場合が多いのですが、
そのことと関係があるのか、多田のアマモ群落のように密生はしていません。
シュートとシュートの間隔が広いように感じられます。
ここにも、和木で見たような、小型のアマモが見られました。

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右側がふつうのアマモ、左側が小型のものです。
小型のものも、いっぱしの群落を形成しているところが、不思議なんです。
生殖枝は上がっていません。

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根はしっかり張っていて、横に這うタイプの地下茎です。
平行脈は5本で、これらの特徴は、アマモであることを示しています。

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手前はコアマモです。コアマモよりは確実に大きい。

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千切れたアマモの茎から、次々に空気が出てきます。
アマモ場が豊かな生命を育む秘密は、
内部に蓄えられた大量の酸素にあると考えられています。

そのアマモ群落の間を、悠然と横切ってゆく巨大なウミウシの姿が。

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マンリョウウミウシでしょうか。
万両と名がついているだけあって、ウミウシとしてはかなり巨大です。
手のひらくらいの大きさがあります。
背中にうっすら砂をかぶっていました。普段は砂の中にひそんでいるのかもしれません。

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つまみあげたので、きゅうっと縮んでしまいました。
ウミウシは皆そうですが、裏面には巻貝の雰囲気が残っています。

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表面は多色使いの赤茶色のイボに覆われています。
火星からやってきたみたい。
左目に比べて、右目が異様に小さく、欠損した形跡があります。
こんな怪しげな姿をしていても、襲われることがあるのですね。

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魚につつかれたらしいヒラタブンブクの殻も、たくさん見かけました。
平沢のアマモ場は、濁りが強くて生き物の多い、生存競争の厳しいジャングルなのです。

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ガラモ場はかなり崩れてきました。
まだ辛うじて立ち上がっていますが、太古の遺跡のように、骨組みだけになっています。

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明るくなった岩の表面に、ヒラワツナギソウが光っています。
この海藻が美しく光るのは、モルフォチョウなどと同じく、
構造色によるのではないかと思うのですが、よくわかりません。
7月後半から8月始めくらいまでが見ごろです。
素浜や両津湾岸に多いようです。

1枚1枚の田んぼが広大で、大規模農家の多い越後では、
あぜ草の除草には、農薬を使っているところが多いようですけど、
佐渡ではお百姓さんたちが、朝仕事に、
草刈機で丹念に刈り取って維持しているところがほとんどです。

この傾向は以前からありました。現在では、
いわゆる『トキ米』の定める、五割減々を実現するために、
炎天下に日がな一日、草刈りを行っている方もいます。
除草剤を使わずに、草が短く刈られたあぜは、とても美しいものです。
大佐度スカイラインなどから、どうぞよくご覧になってください。
国仲平野は小さい平野ですけど、佐渡人の誇りです。

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よく手入れされた道端に、ヤブカンゾウだけが刈り残されている光景は、
決して珍しくありません。
もう少し山つきのほうに登ると、どうやって刈るかと思うような斜面のあぜに、
ヤマユリだけがきれいに残されているのは、とても優しい風情があります。

草刈りの最盛期に、花を咲かせる性質が功を奏してか、
刈られることなく、いきいきと花枝を伸ばすヤブカンゾウ。
かと言って、ヤマユリほど珍重されもしないその蕾を、
いくつか失敬したところで、咎められることはありますまい。

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大小さまざまを摘み取って、米酢に漬けておくだけ。
あまり小さいものを無理に摘む必要はありません。
2、3日もすれば、すぐに大きくふくらみます。
開花間近の大きな蕾は柔らかく、数日後から食べられます。
ほとんど開いたものを漬けて、酢の物などに使ってもいいのです。
湯がくよりも歯ごたえが残って断然おいしい。

小さめの蕾は青臭さが強いので、半年くらい寝かせます。
酸っぱい中にも、カンゾウの独特の甘味があって、よい箸休めになります。
刻んでタルタルソースに加えるなど、ピクルスのように使うことも出来ます。

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チョリソーと一緒に、パンに挟んでいただくホットドッグが目下のお気に入り。
去年のカンゾウを使っています。

2012.07.17 海坊主の泪
2012年 7月 3日 15:00 二見元村 22.3℃

梅雨の中休みで気温が上がって、波の穏やかな日が続いているので、
沿岸では、表層が著しく白濁している場合が多いようです。
ここ、二見でも。

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こういう濁りの原因のひとつには、夜光虫が大量発生している可能性があるので、
昼間見るとキタナイ感じがしますけど、夜には神秘のイリュージョンが見られるかも。

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今日は曇り空で、濁りも強く、海の中は暗めです。
海底には、えいえいえいっ、と巻きあげられた、ツメタガイの卵のうが置かれています。
『砂茶碗』とはよく言ったものです。茶碗は伏せられている場合が多いようです。
普通は1周分か、少々足りないくらい長さなのですが、
これは相当気張って産んだのか、かなり巻きが強めのもの。

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暗い砂底に、色鮮やかな何かが沈んでいると思ったら、ハナガサクラゲでした。
写真撮影用に浮かばせましたけど、このクラゲ、
見かけばかりが良くて、あんまり体力がないのか、
こんなふうに二つ折りになって藻の上で休んでいることが多いのです。
日本沿岸で見られるクラゲの中では、最も美しいもののひとつに数えられています。
以前見たものは、もう少し繊細な、透き通った感じの色彩だったのですけど、
この個体は大柄で、やけに茶色味が強く、触手が多くて毛深い感じ。

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中心にぶら下がっている、ブーゲンビレアの蕾は口です。
そこから四方に伸びて、十字を描いている肌色のフリルは生殖腺です。

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おわんのふちに、こんな膜が張り出しているのには、今まで気付きませんでした。
縁膜と呼ばれる部位で、ヒドロムシクラゲによく見られる特徴のひとつのようです。

ハナガサクラゲは海流に乗ってやって来るので、
このクラゲが見られるということは、潮が通って、
外洋性の生き物を運び込んだ、ということだろうと思います。
あたりを泳いで探してみると、予想通り。
もうひとつの、驚くべき姿をしたクラゲに出会いました。

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ボウズニラ!
図鑑には絵しか載っていなかったのですけれど、絵のとおりの生き物です。
目玉の親父に長い脚をつけたような姿。
二日酔いで充血した瞳に、透明な触手は七色の輝きです。
ちょっとびっくりして身体を縮めていますけど、
本来は触手を伸ばして海面近くを漂っています。

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これ、普通だったら、気付かないんじゃないかな。
刺胞毒はかなり強いと言われています。
以前、手袋をせずに泳いでいたら、突然、手の甲をムチで打たれたような痛みが走って、
稲妻の痕跡みたいに、赤いミミズ腫れが現れたことがあったのですけど、
あれもボウズニラだったのかしら。
『ニラ』は『イラ』がなまったもので、チクチクして痛い様子を表すと言われています。

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クラゲは、その原始的な雰囲気に似合わず、
目がよく発達した生き物として知られていますけど、
この目、本当に目なのかしら。
上から手をかざすと、すうっと身を引いたりして、
目に見える部分が目かどうかは別として、確かに見えているらしい動きをします。

どうしてこんな面妖な姿で生きることを選んだのか、解せないと思っていたら、
そっくりなものを見つけました。

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表層を漂う流れ藻の一部です。
気胞の部分が、ほら、瓜二つでしょ。

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今日は燃えるような夕暮れでした。
雲が多いときの夕焼けの方が、空が複雑な色合いに染まって見えるから、好き。
ボウズニラのメタリックレッドの瞳にも、この空の色が見えているのかな。

2012年 6月29日 10:30 和木 23.5℃

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ここでも、多田同様、表層が白く濁って見えます。
針のように形状がはっきりと見えるものではなく、
もっと細かいプランクトンのしわざではなかと思うのですが、
水が2層にはっきりと分かれています。

和木のアマモ群落は、島状の点在し、
それぞれ内部から枯死して群落を更新しているように見えます。
そのような内部のギャップ(空き地)に、ときおり、
通常のアマモよりも葉の幅が細く、小型で、シュートが密集しており、
しかし明らかにコアマモよりも大型の、
小型のアマモとでもいうべき草姿をした海草の群落が出現しています。

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周囲のアマモに比べると、大きさの差は歴然としています。
これ、平沢でも見られます。群落でなく、単品は、一時期多田でも見かけました。
数株だけなら、若いアマモなのかとも思うのですが、
十分な大きさの群落を形成していながら、
なお小型なのは、何か理由があるのでしょうか。

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平行脈は5本で、やはりコアマモではなくアマモのようです。
まだ花枝の残っている時期ですが、生殖枝は上がっていません。

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アマモ群落の上空を、ふわふわと白いわたの紐のようなものが浮遊しています。
こういうものは、たいてい、繊維質の多いアメフラシのフンである場合が多いのですが、
浮かんでいるのは奇妙ですね。

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触ってみると、びっくり!!
繊維の1本1本が張り付いて、びよよよおんと長く伸びるのです。
綿毛のように見えたのは、無数の触手でした。
触手がひもを編んだように連なっているのです。

こういう形状の生き物は、クラゲを含むヒドロ虫の仲間の、
群体である可能性が高いと思います。
それ以上のことはよくわかりません。
群体の一部なのか全部なのかも不明です。

2012年 6月25日 14:30 長浜・人面岩 20.8℃

海の桃源郷である、龍宮にまつわる名称は、
しばしば海生生物の名称に使われますが、
特に珍しいもの、美しいものにあてられることが多いようです。

アマモが、『リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ』と呼ばれたのも、
海中に広がるアマモ原の美しさに、
敬意を表してのことだったのではないでしょうか。
深海魚のリュウグウノツカイも有名ですね。
残念ながら、わたしは見たことはありません。
雰囲気としては、サケガシラに近いのでしょう。

ほかには、こんな生き物も。

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オトヒメゴカイです。
ゴカイなのに乙姫?と首を傾げたくなるかもしれませんけど、
なるほど、薄そうな肉色の皮膚が、動きにあわせて虹色に輝く様は幻想的です。

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この色味、言いにくいんですけど、ミミズによく似ています。
太くて大きなミミズの中には、皮膚に緑がかった光沢を帯びているものが、いますよね。
寸胴なミミズに、短い脚を付けたみたいな生き物。
脚の付け根に生えている長い触手をうねうねと動かして、素早く、力強く前進します。
この乙姫様を愛するには、古代人の純粋さが必要かも。

6月末の長浜は、夏枯れへ向かう最終局面、といった風情。
雨が降ったり照ったりで、プランクトンの発生にも好条件がそろい、
透明度はぐんと落ちています。

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大きな岩の下部や、オーバーハングになっている背面などは、
日光があまり当たらないので、海藻はほとんど生えません。
それで更地になっていることも多いのですが、
長浜沿岸では、様々な動物の住みかになっている場合が多いようです。

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オオヘビガイの殻の中に、身をひそめているのはナベカ。
真ん中あたり、白のアイシャドーでくま取りされた個性的な目がのぞいています。

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キノコのカワラタケのように、岩陰に、
何枚も重なって生えている、鮮やかな朱色の生き物は何者でしょう。
コケムシの群体かと思いますが、普通の図鑑には、多くの種類は載せられていません。
そういう忘れられた生き物たちの龍宮は、すぐ足元にあるのです。

山の家の南向きの小窓は、普段締め切っていることが多いのですけど、
夏の間だけは、カーテンも窓も開けっ放しにしています。
この南向きの窓から、ちょうど、ネムの花が見えるのが嬉しくて、
梅雨明け間近にネムの花が咲くと、それがこの窓を開ける合図。

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大家さんは、夏の暑い盛りでも、夜には家中の窓を閉め、
クーラーも扇風機もなしで寝てらっしゃいましたけど、
これって都会の風習なのかしら。
わたしはいつも網戸だけにしています。
網戸だと、その目をすり抜けてくる細かい虫がいるものですけど、
気になるほどではありません。
時にはこんな変り種もいて、なかなか愉快な夏の夜です。

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ネムって香りが素晴らしくて、窓から吹き込む風が、多少生ぬるくても、
そういうときほど強く香るネムの芳香で、なにもかも許せてしまう。

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グラスファイバーの造形のようなネムの花は、
南国の雰囲気があるのに、寒さにめっぽう強くて、
山越えの道でも活き活きと背を伸ばし、夏気分を盛り上げてくれます。

佐渡では「コウカノキ」と呼ばれていて、
これは漢字名の『交歓木』に由来するとか。
「ネムノキ」の子供っぽさに比べると、典雅で大人っぽく、
熱帯の、おおらかな男女の性愛を暗示しているようでもある。
この呼び名が気に入っています。

いつもお世話になっている母代わりのような方から、
トビウオのすり身をいただきました。
すり身汁もおいしいものですけれど、ちょっとひと工夫して、
イワシのように、すり身バーグにしてみたら、大正解。

すり身に同量程度の長ネギのみじん切りを加えて、ハンバーグのように焼きます。
湯がいた梅干に、甘味を加えて練った梅びしおを塗り、青ジソを貼りつけます。
すり身の塩気が強かったので、
マフィンに挟んでいただくのに、ちょうどいい塩梅でした。

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俄然やる気がわいて、すり身を自作することにしました。
この時期、佐渡では、トビウオは捨て値なのです。
太平洋側のイワシの感覚かしら。
朝揚がったばかりのものが、パック一杯に詰まって50円から。

わたし、トビウオが飛んでいるのを、1度だけ見たことがあるんですけど、
ため息が出るような、神秘的な姿でした。
目が大きくて、透き通るような青色の身体をしていて、
こんな愛らしい魚が、大して活用もされずに、多くは廃棄されている、と思うと、
安価なのはありがたいのですけど、胸が痛みます。

さて、いちいち三枚におろすのは手間ですから、頭を落として内臓を抜いたあとは、
切れ目だけを入れて、手で皮をはぎ、肉をこぞげとります。
腕に自信のある方は、包丁でさばいても。小骨は残っても問題ありません。
すり鉢ですったら、最高級品。
父は、なんと! 根気強く包丁でたたいていました。
わたしのように面倒くさがりの方は、フードプロセッサーで。
最後に味噌を加えれば出来上がり。

味噌を加えない方が、あとで塩分を調節できて好都合かと思い、
試してみたりもしたのですけど、
臭みを取ったり、余分な水分を抜いたりする効果があって、
減塩推奨派の方も、多少とも味噌を加えるほうが賢明と思います。

すり身は、とにかく細かくすって、
十分に練り上げるのが、味の決め手のようです。
身が粗いと、パサパサした食味になります。
多少粗めになっても、ビニール袋に詰めて、
1週間くらい冷蔵庫に放置しておくと、腐る手前の感じになって、
自然と身が崩れ、粘りが出てきます。
せっかく新鮮なトビウオで作っているのに、恐縮なんですけど、
これが食べごろ。

夏の部屋着代わりに重宝しているのが、
むかし、おばあちゃんが着ていたような、クレープのシュミーズ。
シュミーズって、子供心にダサい名前と思ってましたけど、
スリップよりも、シュミーズと呼びたいような、昔ながらのデザインが好みです。

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新しいものは、おばあ様方御用達の洋品店で、
1000円くらいからそろっています。
普段使いの下着としては、意外に高価かも。
まれに、在庫処分かなにかで、何十年も前の品が、格安で出ていることがあるのですけど、
そのころのデザインの方がぐっときます。見つけたときに少しずつ買い集めています。

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さっぱりとした綿製で、シワが涼しくて、レースのふち飾りもさりげない。
ただし、おばあちゃんサイズなので、わたしには小さめ。
スパッツと合わせて着ています。
カーディガンをはおれば、コンビニくらいは行けると思いますけど、
まわりに何もない山奥の一軒家ですから、滅多に人様の目に触れる機会がないのは、
むしろちょっぴり残念。

夏限定の、白いクレープ製の、ゆったりしたタンクトップや、ズボン下も、
吸湿性があって、肌触りもいい。
なにより、勝負下着のように華美でないのが着やすくて、もう何年も愛用しています。
お店でも、年々品数が減っていて、おばあちゃんたちは増加しているはずなのに、
クレープの愛用者は、ゆるやかに絶滅に向かってゆくみたい。
ただ実用的なだけでなく、目にも涼しげな純白のシュミーズって、
十分女らしいと思いません? わたしは気に入っています。

生まれいずる悩み ⑤

2012年 7月 9日 15:30 多田海水浴場 24.1℃

真新しい卵嚢に覆われていた最初の岩肌に、
徐々に砂が降り積もって、少しずつくすんできています。

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卵は、色付いたものもぱらぱら見えますけど、
透き通った空っぽの袋が多くなっていると思います。

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残念ながら肉眼では、これ以上は観察しようがありません。
中が残っていると思われるものを選んで採取すると、
0.5mmにも満たない、砂粒のような丸いものがこぼれ落ちてきました。
顕微鏡で100倍に拡大してみます。

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ちゃあんと巻貝の形になっていました。大人のバイの形と比べると、
少しつぶれていて、口が大きく開いています。

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殻はとても薄く、中身が透けて見えます。
右側の渦巻きの中心あたりが、いわゆる貝の肝の部分でしょう。

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薄茶色の肝が、いくつもひしめきあって、
卵嚢の中の、茶色い斑点のように見えたのかもしれません。

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もしも言葉が通じるなら、彼らに伝えたいことがあります。
あなたのお母さんを知っています。
あなたを生むために、ひとり、海の砂漠を渡って来た。
その姿がどんなに力強く、美しかったか、
どんなにあなたを愛していたか、わたしは知っています。

新潟県水産海洋研究所の報告(2006)によれば、
卵嚢から飛び出した赤ちゃん貝は、すぐには砂に潜らずに、
3日ほどのプランクトン生活を送ります。
この3日間は、生涯で最もハイリスク・ハイリターンな賭けと言えるでしょう。
その後は生息域を、ほとんど移動しないと考えられるバイが、
波に乗って分布を広げる千載一遇の好機であり、
同時に、魚などに捕食されて、早くも大多数は命を落とすことになると思われます。

短期間のプランクトン生活を経て、着底したものは、
大部分の時間を、砂に潜って身を隠しながら、死肉を求めて海底を這い回ります。
無事、産卵できる大きさになるまで、
生きながらえるものは、ごくわずかでしょう。

ここまでずっと、バイたちの産卵にまつわる、
大きな海の、小さな始まりの物語を見つめてきました。
読み続けてくださった方々に、深謝いたします。
ここから先は、もうわたしには追いかけることの出来ない、
彼ら自身の物語の始まります。

朝からぐんぐん気温が上昇していきます。
家中の窓を開放していたら、迷い込んできたのは夏の貴婦人。

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もしやと思って庭のベンチの陰を見ると、やっぱり。

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スタッズをまとっていた凶暴なパンクの女王も、優雅な翅に召し変えて、
無事にデビュタントを迎えたみたい。

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