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2010.12.24 サクラガイ考
うっかり、サクラガイ拾いの時期を逃してしまったようです。
佐渡は当面荒れ模様の予報。
サクラガイのような繊細な貝を探すには、
風の静かな小春日和や、冬日和が最適なのです。
10月~11月、もしくは2~3月の波の穏やかな日がねらい目です。
かつては、佐和田海岸でサクラガイを拾う人びとの姿が、
初冬の風物詩として語られました。
現在は、そのような人びとの姿はどこにも見当たりません。
佐和田では、ほとんど打ち寄せられなくなったからだと言われています。

今日(こんにち)、サクラガイを探すなら、
長石海岸の、国府川河口近くがおすすめです。
在りし日には到底及びませんが、それでもちらほら見受けられます。
時折波が洗うような、ごく波打ち際を探すのがコツです。
サクラガイのように薄くて壊れやすい小さな貝殻は、
さほど遠くまでは打ち上がりません。

わたしたちが漠然とサクラガイと呼んでいる貝には、数種類あります。
サクラガイのほかに、カバザクラガイ、モモノハナガイなどがあり、
真野湾で最も数多く打ちあがるのは、カバザクラガイだと聞いています。
このあたりの詳細な同定は至難の業で、わたしなど、はなからあきらめていますが、
もう少しサクラガイの仲間に範囲を広げると、
興味深い傾向が見えてきます。

サクラガイはニッコウガイ科に分類されます。
ニッコウガイ科の中でも、
特にサクラガイに類似した仲間について見ていきましょう。

いわゆるサクラガイが多く打ち上がるのは、真野湾の沿岸です。
桜色をした、半透明の薄い殻です。
こういうもろい殻は、激しい波浪を生き延びたり、
砂の中に深くもぐったりするには、不向きであろうと思います。
このことが、サクラガイの生育場所を限定しているのでしょう。


カバザクラガイ 他 (長石海岸他)

これに対して、両津湾岸や、小佐渡沿岸でよく見られるのは、ベニガイです。
片側の尖った独特の形状で、濃い桃色です。
殻はやや厚めで堅く、しっかりしています。
サクラガイよりも大型で、4cm前後になります。
こちらは幾分、波当たりの強い環境に適応していると思われます。

ベニガイ (両尾・平沢・多田)

いずれの貝も、河口近くなど、
淡水の影響が強い海域ほど数が多いように感じます。
貝の表面にはしばしば、キレイな丸い孔が開いていることがあります。
人間が開けたのではありません。肉食の巻貝が、
これらの貝の中身を食べるために、溶かして開けたのです。
このような獰猛な巻貝としてよく知られているものに、
ツメタガイの仲間があります。
真野湾ではツメタガイが優勢ですが、
それ以外の場所では、ウチヤマタマツバキガイの割合が多くなっていると思います。
写真は左がツメタガイ(佐和田)、右がウチヤマタマツバキガイ(多田)です。
一見よく似ていますが、ウチヤマタマツバキガイは、
C型のヘソ孔と、その中にこびりついている黒い"ヘソの緒"(臍帯)が目印です。
("ヘソの緒"は大半は欠落しています)

左・ツメタガイ (佐和田)  右・ウチヤマタマツバキガイ (多田)

最後に「加茂湖のサクラガイ」についてお話しましょう。
よく、加茂湖は海ですか、湖ですか、と聞かれます。
年に1、2ヶ月程度、一時的に表層水の塩分濃度が下がる時期もありますが、
ほとんど海と言い切って差し支えないでしょう。
加茂湖は泥の海底を持つ特別な海です。
海底が泥で覆われているのは、キタナイからではなく、
普通の海なら流れ去ってしまうような、
粒子の細かい泥が降り積もるほど、穏やかな海だからです。

この水没した干潟のような海に住むサクラガイは、ユウシオガイです。
純白~橙味の強いものまで、変化に富んだサーモンピンクが特徴です。
殻は丸みが強く、堅めです。
みっちり堆積した緻密な泥は意外に硬く、重いものなので、
その中で生きるには、こういうしっかりした殻が必要なのでしょう。

ユウシオガイ (加茂湖)

加茂湖では、貝を打ち上げるほどの波が立つことは、滅多にありません。
貝殻の多くは、それが命を終えた場所に沈んだまま、泥に埋もれていきます。
ユウシオガイの殻を探すなら、樹崎神社の周辺の浅瀬に目を凝らすといいでしょう。
ほぼ手付かずの環境が残っているのと、
いくらか波が打ち寄せるので、貝殻が泥の表面に浮いてきているのです。

他の場所のサクラガイの仲間とは違って、
ツメタガイなどの穿孔(せんこう)の形跡が見られないことは、注目に値します。
生きた貝の殻を溶かして、中身を吸いだしてしまうような、
捕食型の貝が生息していないことを示唆(しさ)しています。
もっとも近年は、放流されるアサリの稚貝に混じって、
このような巻貝が、加茂湖にも侵入していると言われています。
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