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2012.01.25 隣の通小町
今夜はひと息に積もりそうな雪です。
午後3時に山に帰ったときには、路面に雪はほとんどなかったのに、
6時に再び家を出るときには、
車の下腹をこすりこすりしながら走り出しました。
今、なんとか家に戻って、これを書いています。

よくしたもので、山暮らしに慣れた人びとは、
こういう夜には家を出ないものです。
わだちもあらかた消えかけた雪道に、
てとてと、てとてと。
規則正しい足跡を残しているのは、隣の家のオス猫です。
人一倍寒がりなのに、まろぶように雪踏み分けて、
1kmほど離れた、メス猫たちの暮らす家へいちもくさん。

恋は偉大だなあ。
小野小町のもとへ、九十九夜通いつめた深草少将みたい。

   暁は暁は数々多き思いかな。
   我が為ならば鳥もよし鳴け鐘もただ鳴れ夜も明けよ。
   ただ独り寝ならば辛からし。
   かように心を尽し尽して。かように心を尽し尽して。

                          『通小町』


少将の側から見れば、小町は悪女かもしれません。
いかにもうぬぼれた、さかしい女として、物語にえがかれもしますけれど、
彼女は本当は、猫のように、ただおおらかに、純粋に、
メスの特権として、ときとして受け入れもするのと同じような単純さで、
拒絶しただけだったのではなかったでしょうか。

百夜目を目前に、雪に倒れて息絶えてしまった深草少将。
どうかお隣さんの猫には、満願成就の百夜目が訪れますように。

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