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2011.01.09 長手岬考 ①
海に暮らす生き物のうちでも、ウミウシは、
特に人気が高く、よく知られた生き物のひとつだと思います。
一方で、これは案外知られていないことですが、
巻貝の仲間です。メダカラガイやツメタガイのように、
常時体が殻の外に出ているような巻貝を想像してみてください。
殻の外に出ている部分がどんどん大きくなると、
殻は貝の体の中に取り込まれてしまいます。
身を守るという本来の機能を失った殻は、やがて退化していきます。
このようにして巻貝から派生したウミウシの仲間には、
雲母の片鱗のような薄い殻の痕跡を残すものもあれば、
すっかり消失してエラが背中にむき出しになっているものもいます。
さて、「海の宝石」とも呼ばれるウミウシですが、
陸上にも同様の進化を遂げた生き物がいますね。
ナメクジです。ウミウシは「海のナメクジ」なのです。
ウミナメクジという、ちょっと可哀想な名前のウミウシもいます。
加茂湖で大量発生しているのを見たことがありますが、まさに緑色のナメクジでした。

1月2日に長手岬を訪れた際の記録を元に、①ではこの時期の長手岬の特徴について、
②では、これまでにこの場所で見かけたウミウシについて、まとめておきたいと思います。

1月2日 12:30 長手岬 12.0℃

観光地にもなっているこの岬は、海底火山の産物である岩盤の台地が、
ほとんど海面と同じくらいの高さに隆起して生じた独特の地形です。
こういう地形は小木半島でも見られますが、こちらの方が家から近いのでよく通っています。

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灯台の向こうが台地の先端で、足元からすぐ、10mくらいの比較的深い海です。
その海は白波が立っているのに、手前の浅い入り江は静かです。
岩礁の先端が波消しブロックのような効果をあげていて、
台地の奥のほうは強い波浪から守られているのです。
この入り江は、大きな潮溜まりと連結した巨大なタイドプールです。
こういう場所は磯歩きにはうってつけです。
深い海と浅い海、荒れ狂う海と静かな凪の海、
二つの異なる環境が出会う場所は、さまざまな生命が交錯する生命の十字路になるのです。

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タイドプールの浅瀬には、たくさんのウミニナ(とその殻を被ったヤドカリ)が散らばっています。
岩の上に堆積する海中の微細な有機物を食べて暮らす、おとなしい貝です。
彼らの食物となる細かな有機物が沈殿するには、それなりに波の穏やかな環境が必要でしょう。
たとえば、波浪から遮断されたタイドプールや、泥が堆積するような静かな海です。
ウミニナは干潟に多い貝なのです。加茂湖でも見られます。
ちょっと不思議なのは、より外洋を好むとされるホソウミニナが、
佐渡の磯ではあまり見られないのに、加茂湖では優勢になっているということです。
加茂湖の中でも特に静かな入り江のひとつで、時々生き物調査を行うのですが、
ホソウミニナのほうがはるかに多く採れます。
一方長手岬では、目に付く貝はほとんどウミニナです。

ウミニナが多いのに対して、佐渡人たちが「シタダミ」と呼んでいる
オオコシダカガンガラなどや、サザエなどはほとんど見当たりません。
磯ねぎと呼ばれる漁の対象になっていることも要因かもしれませんが、
これらの巻貝は有機物ではなく若い海藻を食べます。海藻が発生するには、
新鮮な海水が常に動いている必要があります。その点から考えても、
このタイドプールでは、思いのほか海水が停滞しているのかもしれません。

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冬の風物詩である波の花が、わずかですが飛んでいました。
だいぶ白っぽい色になっているのは、今年はすでに何度か海が荒れているからです。
去年はほとんど時化ませんでした。そのため「島へぎ」は不作でした。
佐渡で「島へぎ」と呼ばれている海藻は、いわゆる岩のりで、
大半はウップルイノリであろうと思います。この海藻は飛沫帯(ひまつたい)を好むので、
海が時化ないと生えないのです。満潮時の水面より高い位置にあり、
時折波しぶきがかかって、いつも岩が濡れているような場所が飛沫帯です。
こういう場所を選んで生える海藻があります。その代表が岩のりです。
写真を見てください。潮溜まりの水面すれすれより上方には緑藻が生えていますが、
そのさらに上は黒ずんで見えます。ここにびっしり岩のりが生えています。
海水がかからないと、乾いて岩に張り付いてしまうのです。
のり棚と呼ばれるコンクリの平地だけでなく、岬の先端に近い場所では、
通路やタイドプールにもびっしり生えていました。

タイドプールの楽しさは、水に入らなくとも、
海の生き物をじっくりと観察できることにあると思います。
冬~春のイソギンチャクは、ウミウシに勝るとも劣らぬ色彩で目をひきます。

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ミドリイソギンチャクは、胴の側面に蛍光黄緑の斑点があります。
目に見える中心部は口です。触手は白~ピンクで、
これはどちらかといえば白味が強いと思います。
夏場は全体的にぼんやりした色になってしまうのですが、
水温の下がる10月~5月くらいまで、発色が強くなります。
黄緑とピンクって、なんだか気取った組み合わせ。
若い頃は怖いもの知らずで、そういう色味の服も着ていました。
今でも好きな組み合わせだけど、さすがにもう着たいとは思わないなあ。

長手岬では何度か泳いだことがありますが、ここは泳ぐよりも歩くのに向いています。
あくまでも個人的な感想です。磯歩きをしていると毎日のように発見があり、
かなり期待して泳ぐのですが、
一年に一度泳いでも、まあこんなものだろうと思うだけです。
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