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2012.03.03 雛の守り人
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お稽古先の先生のお宅に飾ってある、土人形のお雛様。
八幡人形とも呼ばれたもので、その名の通り、八幡地区が一大産地でした。
わたしたちの世代ではすでに、布を巻いた普通の雛人形が一般的でしたので、
今となっては、このような土人形は大変貴重なものです。

これは一般的なお雛様より、心持大きいくらいのサイズですけれど、
旧家のようなところには、もっと大きな、子供ほどもあるひと揃いが、
三人官女やら五人囃子やらを引き連れ、何段にも飾られて、
たいへん豪華なものもあったと聞いています。

ところでこのお雛様、ちょっと違和感ありません?

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高貴というより親しみのある、庶民的なお顔立ちのお雛様。

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優しそうなお内裏様は、何でも言うことを聞いてくれそうなマスオさんタイプかしら。

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あ、あれ? もしやこれは、おすもうさん??

このおすもうさん、別のところから持ってきて、
無理やり一緒に置いてあるわけではありません。
雛壇の一番下に、実際、4体のおすもうさんが飾られてあったのが、
ほとんど散逸してしまった中で、1体だけ奇跡的に残っていたので、
捨てるのも忍びなくて、こうして飾ってあるのだとか。

母方の祖母が、奮発して贈ってくれたわたしの雛人形も、
7段飾りの豪華なものでしたけど、おすもうさんはいませんでした。
現代のどの雛飾りを見ても、
おすもうさんが入っているところはないんじゃないかと思います。

女の子の晴れの日のお祝いに、おすもうさんだなんて、
悪い冗談か、八幡の特殊な習俗か、
さしずめ先生の記憶違い、ってところじゃないかしら。
最初に見たときは、いつも一緒に習っている、もうひとりの先輩のお弟子さんと、
随分馬鹿にして笑い転げたものですけれど、
最近、全然別個のテーマの番組を見ていたら、唐突に4体のおすもうさんが現れたので、
わが目を疑うくらいびっくりしてしまいました。

それは、古代の有力豪族を葬った巨大な古墳から、
巫女や戦士や馬、神殿などと共に、
4体の力士の埴輪がしばしば出土する、というものでした。
古代には、しこを踏むことによって邪気が払われると考えられ、
力士の埴輪は神聖なものとされていたようです。

もしかしたら、古墳時代に由来して、
雛人形におすもうさんを加える習慣が残っていたのでしょうか。
そういえば、同じ真野湾岸では、ふたつの古墳群も見つかっています。
妙な取り合わせと思っていましたけれど、現代の雛飾りがそぎ落としたものの中に、
わたしたちのルーツと言うべきものがあって、それがつい最近まで、
この島の文化の中に、ひそやかに、連綿と受け継がれていたのでしょうか。

雛祭りの起源は流し雛にあって、
穢れをはらい、悪霊や厄災から身を守るための祭事であったと言われています。
古墳に埋葬された埴輪といい、身代わりのひと形といい、
女のお祭りが『死』と強く結び付いているのは不思議です。
平凡な見解かもしれませんけれど、
それは女だけが命を生み出すからこその宿縁なのかもしれません。

それにしてもこのおすもうさん、随分のん気なお顔をしていますね。
ぼんやり突っ立ってるだけで、しこを踏む気配もなし。
由緒があるらしいことはわかりましたけど、
本当に、少女たちの未来を託しても大丈夫なのかしら?

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