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佐渡にはいくつもの海があります。
多様な特性を持ったさまざまな海がある、ということです。
渚の風景はもちろんのこと、海岸が違えば海の中の景色も違う、
当然、そこに暮らす生き物たちの種類も変わってきます。

このことについて考えてみましょう。

以前植物学の先生がおっしゃっていたことは、
この佐渡島では、生物の帯状分布を、ぎゅっと圧縮された形で見ることが出来る。
たとえば海から徐々に山になっていくような斜面を考えると、
標高に応じて生えている植物の種類や、木の背の高さなどが変化します。このことは、
経験的に誰でも知っていると思います。同じ特徴を持つ区域は帯のように広がって、
それが階段状に積み重なって変化してゆく。これを帯状分布といいます。

海の帯状分布はもっとはっきりしています。
そもそも帯状分布は、陸上では普通、非常になだらかな推移ですが、
海岸、特に岩礁では短い区間の間にはっきりと見ることが出来ます。
下の写真を見てください。3月の、松ヶ崎の防波堤の波打ち際です。
この時期の典型的な帯状分布です。

IMG_6149_convert_20110118154958.jpg

この写真の上が海で、下のほうに向かって、護岸のブロックが少しずつ高くなっています。
一番下のブロックは水没していて、水面に髪の毛のようなものがゆらいでいるでしょう。
常に水中にあるので、褐藻が生えているのです。
二段目は紅藻と、波打ち際によく出現するような背の低い褐藻が少し。
三段目は緑藻です。

一般に緑藻は短命で、日和見主義者(オポチュニスト)と呼ばれます。
条件がそろえば生えるし、合わなくなればさっさと消えてしまいます。
水深が浅く、海藻にとっては環境の厳しい場所にもかなり適応します。
海水の汚染されやすい都市部の沿岸でも、しばしば大繁殖して問題になります。
三種類ある海藻のうちでも、陸上に進出した植物の祖先は緑藻でした。
地上のあらゆる植物が、輝く緑の葉を広げているのは、
この遠い祖先から受け継いだ資質なのです。
海の生き物である海藻にとって、淡水や陸地は、苛酷な環境でした。
適応力に優れた日和見主義者だからこそ、今日の繁栄を築くことが出来たのでしょう。
この最強のオポチュニストの生き方には、案外人間も学ぶところがあるかもしれません。

4段目ははっきり見えないかもしれませんが、真ん中あたりに黒っぽい線が入っています。
ここには飛沫帯を好む紅藻の一種が生えていて、すっかり乾いて張り付いていました。
海が時化るとここまでしぶきが飛んでくるのです。

陸の帯状分布は圧縮されていますが、海の帯状分布は典型的な日本海沿岸のそれです。
日本海側の帯状分布は圧縮されます。干満の差が小さいからです。
むしろされすぎてつぶれたり、重複したりする傾向にあります。
それでも、亜高山から水深100mに至る生物の分布の推移をすべて、
この小さな島の中で実感できることは幸いです。

海藻の帯状分布は岩礁のいたる所に発生しますが、
こんなふうにはっきり見られるのは、せいぜい4月ごろまででしょう。
3月に入ると風は穏やかになり、海は鎮まります。
温かくなり、日の差す時間が長くなると、
3段目や4段目に生えているような海藻は死滅してしまいます。
夏は海の冬となり、枯野が広がります。
海藻が再び繁茂し始めるのは、水温の下がる10月ころからです。

言いかえるなら、10月から3月の寒さのころは、泳ぐには厳しい季節ですが、
海岸を歩いて帯状分布を体感するには最適です。
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