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2010.12.19 お弥彦参り
 昨日、おやひこ様参りに行って来ました。
 弥彦神社は越後一ノ宮、新潟県ではもっとも格の高い神社です。

 新潟市に住んでいる妹が連れて行ってくれました。
 実を言うとわたしたちは、
 この夏に母を亡くしたばかりで参拝はできないのです。
 神社の前は素通りして、お土産の甘納豆を買い込んできました。

 一年くらい前、ほんのひと口いただいた弥彦名物のそら豆の甘納豆が本当においしくて、
 お歳暮代わりに、お世話になった皆様にお配りしたいと思い、
 取り寄せられないか調べてみたのです。
 残念ながら、ネット検索ではヒットせず、
 それきりになってお店の名前も忘れてしまいました。

 今年また年の瀬が近付いてきて、甘納豆のことを思い出し、
 観光協会のホームページを見て、それらしきお店が載っていたので、
 すぐに電話して、送ってもらえるか聞いてみました。
 小さなお店で少しずつ作っているので、地方発送には対応していないとのこと。
 それで俄然ヤル気が出て、弥彦まで買いに行くことにしたのです。

 陸続きならどうってことない旅なんでしょうけれど、
 佐渡から越後へ渡るには、往復5時間の船旅を覚悟しなければなりません。
 それに今は、一年のうちでも特に越佐海峡の荒れる時期なのです。

 わたしはめったに佐渡を離れません。せいぜい数年に一回程度でしょう。
 それもすぐ、たいてい日帰りで戻ります。
 出来ることなら、砂浜に生きるアマモのように、
 時代の波に取り残された不毛の地に、深く深く根を張って生きたい。
 ・・・不毛の地は言いすぎです。
 よしんば、ある人びとの目には、何もないように見えたとしても、
 わたしにとってはすべてがあるのです。

 いくらか土地勘のある(と思われる)妹が連れて行ってくれるのでなければ、
 多少は躊躇したかもしれません。
 佐渡には電車がないので、乗り慣れていない電車を使うとなると、
 ハードルはいっそう高くなります。

 かわりに米とじゃがいもを持ってきて欲しいというので、
 登山用のザックに、米と野菜を詰め込んで出発します。
 立ち上がろうとするとよろけるような重さです。
 その重さが、懐かしい記憶を呼び覚ましました。
 何年か前の夏、(自称)ニートだったとき、テントと寝袋を背負って、
 佐渡の海岸線を歩いて1周しました。そのときのザックの重さに似ていました。

 15kg以上あるザックを背負って、
 野宿をしながら6日間歩き通しました。
 毎朝、歩き始めの2時間くらいは気分爽快なのですが、
 そのあとは荷物の重さに押されながら、
 ひたすら三歩先をにらみ据えて進みます。
 暑さと疲労で朦朧としながら、わたしはこう考えていました。

     薄暗い部屋の片隅で、一生膝を抱えて生きるのはイヤだ。
     失ったものや、
     手に入れられるはずだったのに、
     指の隙間から零れ落ちていってしまった幸福を、
     数え上げながら生きていくのはイヤだ。

 自分探しのために歩くのですか、と何度か聞かれました。
 わたしははっきりと、違います、と答えました。

     わたしは自分なんか探していない。
     自分自身になんか出合えるはずがない。
     もし仮に本当の自分などという幻想が実在していたとしても、
     そんなものはたいしたものではないでしょう。
     わたしは他人と出会いたい。
     誰かとすれ違うだけでもいい、
     もし人生が線分であるなら、
     他と交わることで、わたしは平面か、
     もしくは空間のひろがりの中を生きたい。

 朝一の船に乗って越後に渡り、波止場まで迎えに来てもらって、
 そのまま弥彦を目指しました。
 晴れた日には、佐渡から弥彦山がよく見えます。
 いつも水平線の上に見ていた山が、
 目の前にそびえているのは不思議な感じがしました。

 神社の近くで車を降りて、地図のとおりに歩いていくと、
 車も通れないような細い路地に面して、その店はありました。
 豆を煮るいいにおいがあたりに立ちこめています。
 どうしてこんな路地裏に店を構えているのだろうと思って尋ねると、
 お店の人はびっくりしたような顔をしていました。
 そこは路地裏などではなく、かつての表参道だったのです。
 弥彦駅に汽車が停まると、
 参拝客たちが列をなしてこの細い坂道を登っていったそうです。

 そのまま弥彦から新潟市へ戻り、昼の船に乗って佐渡へとんぼ返りです。
 夕方用事が入っていたのです。
 船はひどく揺れました。大波を乗り越えるたびに、
 船底が海面をたたく音が、地ひびきのように響き渡り、
 波しぶきが客室の窓に散りかかってきましたが、
 空は不思議なほどよく晴れていました。
 
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