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夏に向けて、ウミヒルモが展開し始める時期です。
ウミヒルモ類は南方系の海草で、南西諸島沿岸では種類も豊富です。
佐渡の沿岸に成育するウミヒルモは、
現在のところ、ノトウミヒルモ1種が確認されています。
主な生育地は真野湾です。

二見元村は、浅く、遊泳が容易な海水浴場のような海では唯一、
ノトウミヒルモを確認できる場所です。
月に一度以上は入って観察を続けています。

ノトウミヒルモは青森を北限とすることが知られています。
真野湾の浅い沿岸は、冬季は7℃程度まで水温の下がる、苛酷な環境です。
年にもよりますが、冬には地上部は枯死する場合が多いようです。
地下茎が残っているのか、種子から発芽するのかは不明です。

2012年 5月23日 10:00 二見元村 17.2℃

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4月にはまだ生き生きとして水面を覆っていたガラモ場も、
終盤に入り、倒れ込んでいる箇所が目立ちます。

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海の中は明るく、水そのものの透明度は高いのですが、
マリンスノーが多く、全体的に白っぽくかすんで見えます。

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ガラモ場には、いくつもの小魚の群れが寄り添っていました。
これはメバルの稚魚でしょうか。

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定番のキヌバリは、よく見ると、体色が柔らかく、うろこも目立たず、
全身が透き通っていて、磯魚とは思えないほどに、繊細で美しいのです。
この雰囲気が、『絹張り』の名の由来となったのでしょうか。

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4月には、アマモの花穂はまだそれほど伸びていなかったのですが、
すっかり伸長して、生殖枝よりも背が高くなっています。

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ノトウミヒルモはまだ見あたりません。
表層はかなり水温が上がってきているのですが、
下層は温度が低く、ひんやりしています。

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砂の上に毛が生えたようになっているのは、ゴミか何かと思っていたのですが、
ゴカイ類の棲管なのかもしれません。とても小さくて細い管です。

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砂の上に、魚の背骨が残されていたのは、
もしかして、前回見かけた死骸のなれの果てかしら。
このひと月、大きな時化に見舞われていませんから、
ありえないことでもありません。
骨はどなたが分解するのでしょう。

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浅瀬の褐藻の間に、この時期よく見かけるのですが、
オレンジ色のビー玉みたいな卵塊がいくつも付着しています。
ヘリトリクロアメフラシなど、
ウミウシ類のものではないかと思うのですが、定かではありません。

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オレンジ色の部分は、よく見ると粒々の卵なのです。
わざわざこんな模様にするのには、何か理由があるのでしょうね。

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岩陰にウミヒドラを見かけたのは、ちょっと意外でした。
この生き物は、もっと潮通しの良い場所を好むと思っていたからです。
ここは、ビルの谷間を強風が吹きぬけるように、
岩と岩の隙間が、わずかな波でも増幅させる効果を上げて、
小さなウミヒドラを育てているのかもしれません。

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浅瀬はフクロノリの独壇場なのですが、表面に小さな黒い巻貝が散らばっています。
表面のケイ藻などを食べているのではないかと思います。
これでも成熟した個体でしょう。
このような微細な巻貝は、加茂湖のカワツルモ場でもよく発生するのですが、
同じ種類かどうかは不明です。

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ナメクジのような生き物も這っています。
ウミウシではなくヒラムシの1種ではないかと思います。

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ヤドカリも盛んにハサミを操っています。
人間の目には、なんにもないように見えますけど、
ふかふかのフクロノリのマットの上は、ごちそうの宝庫になっているみたい。
さらに真っ黒なヒラムシを発見!

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ヒラムシを見かけたら、裏面を確認するのをお忘れなく。
腸が透けていて、それがなんともグロテスクで目を引くのです。
ただ真っ黒なだけかと思っていたら、裏を見て驚きました。

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地色は、青と赤紫に、パールをふりかけたような、ミステリアスな玉虫色。
このような色彩を、なんと呼んだらいいのでしょう。

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手前の、白い線が放射状に広がっているところが腸です。
宇宙の黎明に起こった、ビッグバンの姿をとどめてて、
無限の虚無をたゆとうヒラムシ。
その小さな胸で、どんな美しい夢を紡ぐのでしょう。


2012.05.30 花笠の乙女
2012年 5月21日 13:30 多田海水浴場

4月の下旬に入ったときには、濁りが強く、
かろうじて花穂が伸びているのが確認できる程度だったのですけれど、
ぐんぐん透明度が上がって、本来の明るさを取り戻しています。

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群落の外縁部に勢いがあり、生殖枝が多く上がっています。
新しい地下茎は外側に向かって伸び、群落を広げようとするでしょうから、
内部よりも外縁のほうが、若いのだろうと思います。

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春先に襲来した暴風の爪あとが、ここにもありました。
アマモ場の根元がかなりえぐられています。
テトラポッドにさえぎられた、穏やかな海水浴場で、
これだけの砂を持ち去るほどの荒波とは、どのようなものだったのでしょう。
その波に負けず、しっかりと砂を固定しているアマモの強靭さに驚かされます。

普通、水草の根は、体を固定するだけの役割しかなく、
陸上植物に比べると貧相なものである、
と考えられているのですが、アマモのそれは、
かなりの密度で張り巡らされていることがわかります。

また、淡水性の水草には、根がなく、枝を切り取っただけの状態でも、
生きながらえ、繁茂するものがありますが、
カワツルモ以外の海草は、シュートだけで繁殖することは出来ません。
もっとも、海草のシュートは、内部に蓄えた大量の空気のせいで、
ぷっかりと水面に浮いてしまうのですけれど。

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枯葉の上に大量の巨大なアメフラシが這い回っています。
海藻も混ざっていますから、そちらを選んで食べているのでしょうか。
アマモは海藻に比べると、とても硬い食べ物なので、
分解できる生物は多くないと思います。
実際、海草は、住みかや産卵場としては活用されますが、
食害はほとんど受けません。

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砂の上にばらまいたトゲのような稚魚たち。
この時期、小さな生まれたての稚魚の群れを、
ガラモ場やアマモ場を中心に多く見かけます。

あ、ハナガサクラゲ。

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このクラゲに会えたらとってもラッキー。
日本沿岸に産するクラゲの中では、最も美しいと言われているクラゲです。

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元気な個体で、さかんに傘を開閉させながら泳いでいました。

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このクラゲ、傘の縁だけでなく、表面にも触手があるのが特徴です。
蛍光ピンクと蛍光イエローの派手な色合わせ。
刺胞毒は強めと言われていますから、決して素手で触ってはいけません。

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海の中には、こんな夢見るようなピンクが、案外多く見られるのです。
そういえば、海って、女性名詞でしたっけ。

2012年 4月28日 12:30 二見元村 16.6℃

この時期の二見元村は、褐藻が水面まで達してガラモ場が発達しています。

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赤味が強く見えるのは、すでに老成している証拠です。
冬には黒味が強かったのです。
足元まで褐藻に埋め尽くされているのは、波当たりの弱い二見ならでは。

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波打ち際で長くたなびいているウミトラノオは、
秋口にはツクシのようにちんまりしていたのです。
冬の恩恵がここまで育てました。

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水中は迷路! 全体としてまだよく直立しています。
枯死が始まると、巨大な褐藻たちはいっせいに倒れ始めます。
ほかの海域ほどではないのですけど、春濁りも幾分感じられます。

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『ナガモ』の名で親しまれているアカモクです。
先の尖った実のような部分は、胞子が発生する生殖床です。
植物でいう蕾のようなもので、全草がすっかり成長を終える春先に伸び始めます。
すでに胞子は放出されたあとのようです。
当然ですけど、こうなるともう、商品価値はありません。
海に入らなくとも、ナガモの出がけから終盤にかけて、
生殖床がぐんぐん発達していく様子が、スーパーの鮮魚コーナーでも観察できます。

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ガラモ場の草陰には、小魚がつきものですけど、
かなりの大物がひそんでいることも、しばしば。
この日はスズキ! 30cmくらいでしょうか。
さすがに堂々としていて、近付いても、ボラのように逃げ回ったりしません。
二見では、80cm級の大物が釣れることも、少なくないと聞いています。

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この日はアマクサアメフラシを多く見かけました。
ウミウシって、よく砂の上を這い回ってますけど、
ザラザラした粒子の上を、スルスル移動できるのには、秘訣があって、
常に粘液を分泌しながら、その上を歩いているのだとか。

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二見はスギモクが多いのですが、昨年の冬から、あまり生育がよくありません。
素浜のものと比較すると、その違いは一目瞭然です。
枯れてはいないようですけど、生殖枝は上がっていません。

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ガラモ場の木陰は薄暗く、褐藻の生長期間を考えると、
かなり長期的に日光が遮られます。
不運にも日陰に入ってしまったアマモは、すっかり生育が制限されています。

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こちらは日向のアマモ場。開花枝が上がっています。
水は冷たいですけど、アマモの花を見ると、夏気分が一気に盛り上がります。
栄養枝と呼ばれる葉だけのシュートは、これからぐんぐん生長します。

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スゲアマモも花盛りです。こちらの開花枝のほうが、アマモより長く伸びています。
早い時期に発生する傾向があるのかもしれません。

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アマモ群落の隙間には、コアマモ群落。

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ウミヒルモは見当たりません。昨年大規模な群落が展開していた箇所にも、
何の痕跡も見出せません。
この南方系の海草は、冬季、二見では、少なくとも地上部は枯死するようです。
地下茎が残っているのか、あるいは種子から新たに発生するのか、
今後も観察を続けたいと思います。

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二見元村のアマモの楽園は、2010年の秋に大規模な消失が起こって、
1度はほとんど更地になっています。
その状態を考えると、わずか1年半で驚くべき回復を遂げています。
二見の底力のようなものを感じないではいられません。

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アマモの株元に、指が入りそうな大きな穴がいくつも開いていました。
中にはこんなふうに、首がついているものもあって、かなり精緻なつくりです。
周囲には同心円状に、細長いフンのようなものが散らばっています。
わたしの経験では、このような穴の住人は、
ウミケムシのような楽園の掃除屋たちです。

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砂底に沈んだ魚の死骸に、たくさんの巻貝が群がっていました。
どれもいやに年季の入った貝殻ですね。これは巻貝そのものではなく、
お下がりに間借り中の、ヤドカリさんたちのお食事風景です。

2012.05.18 海に降る雪
2012年 5月 2日 12:00 平沢海水浴場 16.0℃

アマモ場の開花状況を見に入ったのですが、
透明度はかなり低いです。

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かろうじて、開花枝が上がっているのが確認できます。
アマモが黄色く見えるのは、全体に、
うっすらほこりを被ったように、ケイソウが付着しているからです。

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大量に発生したケイソウのような植物プランクトンが、
懸濁物となって透明度を下げているのだろうと思います。

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写真だとわかりにくいのですけど、目に見えるような粒子、
いわゆるマリンスノーが無数に浮遊しているのです。

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透明度を除けば、全体としては、昨年と同様の印象を受けました。
石が入っているところでは、大型の褐藻がよく繁茂して水面に達しています。
水はとても冷たいのですが、ガラモ場の中だけはじんわりと温かくて、
流れを滞らせる、海藻の強い影響力を感じます。

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砂浜にはクサフグはつきものですけど、これは少し大型のヒガンフグ。
温かい水がお気に召したよう。

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浅瀬に小さなミルがたくさん生えています。苗かもしれません。
ミルは、かつてはワカメやコンブ同様、重要な海産物として食用にされていたとか。
苔っぽいマットな質感ですけど、どんなお味がするのかしら。

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サンゴ藻の茂る潮間帯上部は、カヤモノリとフクロノリの独壇場です。
このような組み合わせは、比較的波当たりの弱い海岸に現れるようです。
外側で、たっぷり育っているガラモ場の効果でしょう。

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フクロノリは、内部に空気を蓄えているのですが、こんなに浅い場所で生育するのに、
一体何のためなのか、さっぱり見当もつきません。
時々、よく発達したボール状の塊が、岩からはがれて波間に漂っているのを見かけます。
どうしてこんな生き方を選んでしまったのかしら。

2012年 4月20日 12:00 素浜・亀脇

水に入るのが楽しい季節になりました。
エビアマモの楽園、素浜では、乙姫の緑の黒髪が波にたなびいています。

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ケイ藻が付着して、先端は海老茶に染まっています。
乙姫様も、若作りが必要なお年になったのかしら。
永遠に若かったら、きっと孤独でしょうものね。

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ちょっと、見慣れていないとわかりにくいのですが、
株元に花序が上がっています。
エビアマモの花序は、アマモとは違って、1つ1つが株元から発生するのです。

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全体の形はアマモに似ています。まだ若い蕾のようです。
海草の多くは雌雄異株で、雄花と雌花の構造が異なります。
花序は、複数の花の集合体で、
1つの花序にはいくつもの子房や葯が連なっています。

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雌花だと思います。小さい粒がひとつの子房です。
雄花の葯(やく/花粉の入っているところ)は細長い形状をしています。

例年5月にはいると、すでに結実していることが多いのです。
初めて花序を確認しました。
開花すると、雄花は千切れて消失し、子房の膨らんだ雌花だけが残るのです。

それにしても、こんな波の荒い場所で、
偶然にも種子が岩の隙間の砂に埋もれて、発芽する。
奇跡としか言いようがありません。
アマモ同様、すでにエビアマモの親株が発達している場所の環境は、
比較的安定していますから、同じ場所で、
人知れず世代交代を繰り返している場合も多いでしょう。

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褐藻もよく繁茂して最終段階に入っています。
北西風に面するこのような海域では、褐藻は水面にまで達しないのが普通です。

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目を引いたのは、スギモクの見事な花姿!
日本海特産のスギモクは、砂がちな岩場に多いようです。
杉の枯れ枝に似ていることからその名があるのですが、
花(生殖器床)も杉の花に似ていませんか。

スギモクは大型の褐藻としては珍しく、葉に浮き袋を持っていません。
そのため普段は海底に沈んでいることが多いのです。
花枝だけが立ち上がる段取りなのですね。

わたしは幸い、花粉症には縁がないので、
こんなに陽気に春を謳歌していられるのですけど、
海の中でも、この時期は、海藻の胞子が一斉に放出されるので、
大量の胞子のせいで海の水が濁ると言われています。

この現象は『春濁り』と呼ばれ、ダイバーにはよく知られているようです。
わたし、例年は5月から入り始めるせいもあって、
実感できるほどの春濁りを体験したことがなかったのですけれど、
本当に、それ以外には説明のしようがないくらい、
今は、どこに入っても透明度が低いのです。

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